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□2.サンジ×ナミ
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アーロンはぶすぶすと煙を出しながら倒れている。


「やったぜ、ナミさん!」


サンジは体制を崩したまま、こちらを向いて親指を立てていた。

ナミは笑いかけようとしたが、その時、サンジの後方で何かが動いたのが見える。


「く、くそ……海にさえ出ればこっちのものだ……!!」


魚人はふらふらしながらも、アーロンを海の方角にずるずるとひっぱっていた。


「……あ!」

「あいつ、まだ……」

「見てろ……海中で俺らに敵う……しゅ、種族はいねぇ……」


だが、まさに海に入ったと思った瞬間、今まで海だったものは、なぜか森になった。

そこには、静かに木が連なっている。


「海だ! 海……あ、あれ……?」


魚人は驚きながら、土をつかんでいる。


「ふふっ! ミラージュ=テンポ! こういう事もあるかと思って、蜃気楼作っておいたの。ごめんね! そして……」


魚人はまだ信じられないといった感じでナミを振り返ったが、その顔はみるみる凍り付いていった。


「あぁ……あ……あ……」


魚人の目の前には小型のサイクロンが迫ってきていた。


「さっき言っただろう……?」


その上空にはサンジが飛び上がっていた。


「!?」


そしてそのままサイクロンに吸い込まれていくと、中で激しく回転していく。


「ははっ……ば、ばかめ! 自分で入って行くとは!」

「イカが……コックに……!」


サンジはサイクロンごと魚人に突っ込んでいった。


「逆らうんじゃねぇーっ!!」

魚「!!」


サイクロンの力を借りて攻撃力を増したサンジの蹴りは、アーロンごと魚人に激しく炸裂した。

しかし、それでも威力は衰えず、回転しながら地面をえぐっていく。


「うぎ! ……ぎ……ぎ……!!」


凄まじい重力が地面をえぐりながら前進し、もうこれ以上は耐えられない、とでもいうように浮上する瞬間をサンジは見逃さなかった。

渾身の力で蹴り上げると、サイクロンはそのまま遥か上空に二人を連れていった。


「海に還れ……これで……文句ねぇだろ……」

「やったわ! サンジくん! ……サンジくん!?」


サンジはその場に倒れていた。

意識はもう途切れているようだった。
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