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□2.サンジ×ナミ
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「!」
「イカがコックに逆らうんじゃねぇ……。っく……」
しかし、サンジもその場に両手をついた。
「サンジくん!」
その様子を見ていたアーロンは、掌からゆっくりと水を滴り出した。
サンジに投げつけるつもりだろう。
「では、ナミ……その信じてる仲間が消えれば、お前は俺と来るしかねぇって事だな……」
以前サンジが受けた時は散弾銃ほどの威力だった。
毒がまわる今の状態ではきっとひとたまりもないだろう。
しかし、ナミは動じなかった。
「……いいえ。それはないわ!」
「何?」
「時間がかかるのよね。これ……」
「……! な、なんだこの雲は!?」
アーロンの後方に小さな黒雲がいくつも広がっていた。
「あたしは……あんたなんか恐くない!!」
そう言うとナミはアーロンの前方に走り出した。
「全部戻って来い……!!」
その小さな黒雲一つ一つがごろごろと音をたて、無数の雷光がほとばしる。
「!?」
「サンダーストーム=テンポ!!!」
飢えた獣が獲物を襲うかのごとく、それは激しい雷鳴とともに一斉にアーロンの体を貫いた。
「……うぎゃぁぁぁーっ!!!」
それらは、いまだバリバリという音を残しながらも吸い寄せられるようにチャージしたクリマ・タクトに戻っていく。
全てが一瞬の出来事だった。
「今のあたしは、仲間を失う事の方がずっと……恐いわ」