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□2.ゾロ×ロビン
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「……この建物は見覚えがあるな」


ゾロはすっかり道に迷っていた。どうやら港の方に戻ってきてるようだ。

次第に焦りと苛立ちが募っていく。


「あぁ〜っ! こんなことしてる場合じゃねぇっ!」


右に曲がった所を走りながらふと、数ある民家の一つに目が留まる。


「……ええ。そうです。はい……いえ、それが……」


そこには、子電伝虫に向かってペコペコしている男がいた。


「……わ、わかっています!! し、しかし…………あれ?」


突然首をかしげながら子電伝虫を見つめている。

通話が途中で切れたのだろう。


「あ〜まただよ船長〜。受話器外れてるって……」

「ほぉ〜〜う、船長か。てことはお前ら海賊ってわけだな!」


ゾロは敵の背後に忍び寄っていた。


「!!!!」


敵は慌てて飛びのくと、声を張り上げた。


「ロ、ロロノアだぁーっ!! ここにいるぞーっ!!」


しかし男の声は虚しく反響しただけだった。

やがて変わらない静寂が二人を包む。


「……いねぇようだな。誰も」


男の顔がみるみる青くなる。


「だ、だからやだって言ったんだ! ヒ、ヒィィィ〜!!」


ゾロは、ごん、と、すかさず逃げようとした男の頭に一発お見舞いした。


「……あぁ……」


ばたりと倒れこんだ男の手から子電々虫が転がる。


「はぁ……安心しろ。峰打ちだ」


呆れたような表情で子電伝虫をシャツのポケットに入れようとした時、ゾロの耳に微かな音が届いた。


「……ん? 繋がってるのか?」
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