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□2.ゾロ×ロビン
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三本目の刀を脇に差し、ゾロは立ち上がった。


「よし……」

「行くの?」


ロビンはまだ裸のままベッドに横になっていた。


「あぁ……」


ゾロは港を見に行こうとしていた。


「そう言えば……船があるんじゃないかしら?」


まだ気だるいというように、ロビンは小さく息を吐きながら言った。

その言葉にゾロは動作を止めた。


「お! そうか。あいつらが乗ってきてる筈だよな」


途端にひらめいたような顔をし、さらに続ける。


「じゃあお前、その船手に入れてルフィ達んとこ行きゃあ……」

「わたし達だけでは無理よ……。嵐の中、船がずっと動かないままいるとは考えにくい」

「でも海出たらなんとかなるんじゃ……」

「無理よ。ゾロ……」

「でもよ……」

「無理よ」


ゾロが何か提案をしようにも、事も無げにロビンは否定した。

ゾロは少し不機嫌になったようだ。

また部屋を出て行こうとする。


(せめてナミがいれば……)


そう思いかけたロビンの頭にスパンダムの言葉がよぎる。

その時、ゾロは再び歩みを止め、


「……そういや、魚人がいなかったが」


と呟いた。


「魚人?」

「お前をさらったヤツ」


魚人と聞いて、嫌な考えがめぐった。


「とにかく俺は船を探してくる……」


何か考えているロビンに構わず、ゾロは出て行こうとした。


「……ゾロ!」


ロビンに急に呼び止められ、ゾロは振り返った。


「なん……」

「一人で…………大丈夫?」


ロビンは、ゾロが港に一人で辿り着けるか危惧しているようだった。


「……あったりめぇだ!! 迷子扱いすんなっ!!」


憤慨しているゾロの様子を見て、ロビンはつい、笑いがこぼれそうになる。


「……」


ロビンは、そんな自分に驚いた。

怖くて止まらなかった震えも、流れたままの涙も消えた。

まるで、本当にゾロがおぞましい記憶を塗り替えてくれたようだった。

ゾロはまだ不機嫌な様子で、部屋を出て行こうとする。


「ゾロ……」

「なんだよっ!!」


まだ言いたいことがあるのかと言わんばかりに振り向くと、美しく微笑んでいるロビンがいた。


「……ありがとう」

「!」


ぶっきら棒に、あぁ、とだけ言うと、ゾロは出て行った。


(助けに来てくれたのがあなたで……よかった)


ロビンは体に残る、ゾロの温もりを抱きしめた。

やはりゾロの後を追おうと、急いでシャツに袖を通す。

すると、自分の腕の先に、ゾロが破壊した所から穏やかな海がのぞいているのが見えた。


(スパンダムは……確かに「航海士はいない」と言った……)


ベッドから立ち上がり、もう一度海に視線を移す。

すると、部屋の隅に落ちている電伝虫に目が留まった。


「……ゾロ!」






2.サンジ×ナミ  or   4.はじまりは突然に


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