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□2.ゾロ×ロビン
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(風だと!? くそっ……!)

「はーっははは!! お前におれは斬れねぇよ!!」

(ゾロ……)

「うちの船長はすごいな〜!」

「すごいなすごいな〜!」


さっきまで隠れていた小人達がまた小躍りをしている。

どうやら身長が低い彼らには、上空を漂う風の影響は少ないようだった。


「……!」


その時、さらに激しい暴風が巻き起こった。

部屋全体がびりびりと揺れる。


「……」

「ふふふ……おれの風はこんなもんじゃねぇぞ! ……お前らは一度体験してるだろうがなぁ」

「!?」


スパンダムはそう言うと、口の端を大きく上げてみせた。


「まさかあの嵐は……!?」

「雨雲を呼び寄せるのなんか、今のおれにとっては造作も無いことだっ!! はーはっはっは!!」

「ちっ……」


ゾロは、家屋の屋根が飛んできたことを思い出していた。


「! ……あれは……」


その時、ゾロを見つめていたロビンの目が、少し先の机の上で輝くものを捉えた。


「ねぇ、小人さん……。あれも海楼石かしら?」


机の上のそれは、ロビンの手首にはまっているものと全く一緒だった。


「あ〜そうだ。おれらがいっぱい盗んできたんだ!」

「おれらは泥棒がうまいんだ!」


そう言うと、小人族は揃って得意げな顔を見せた。


「あぁ〜、でも海楼石で弱ってるニコ・ロビンも素敵だぁ〜」

「綺麗だぁ〜」


小人達はロビンを舐めまわすように見ている。


「ねぇ……あれちょっと見せてくれないかしら?」


ロビンは、机の上のものを視線で示す。

すると、小人達は少し不安な顔になった。


「えぇ……? でも……」

「おれ達船長に怒られないか……?」


ビクビクした様子で、お互いの顔を見合わせる。


(……こういう事は不得手だけれど……)


ロビンは小人達を熱をこめた、潤んだ目でじっと見つめた。


「あの手錠で面白いことしてみない……?」


小人達は途端に興味を示した。


「面白いこと〜? ?」

「なんだ〜? ?」


ちらりとゾロの方に目をやる。

とても苦戦しているようだ。


「私は手錠一つでこんなに力が入らないでしょ……?」


ゆっくりと自分の脚を引き寄せる。


「だから……もう一つはめてみたら……どうなるのかしら?」


ロングブーツから片方の美しい脚があらわになった。


「ぽ〜〜〜っ!!!!」


小人達は飛び上がり、ギラギラした目を一層輝かせた。


「きょ、兄弟っ! やってみるぞ!!」

「お、おうよっ!!」


いそいそと机の手錠を取ると、息を荒げながらロビンの脚の方にまわった。

その時、十分に大きくなった暴風の渦が部屋の屋根をめりめりと震わせた。


「!」

「くくく……いくぞ!!!」
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