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□6.エピローグ
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「だから、これつけて行けって!」

「ホントよ、ゾロ! ばれたら大変な事になるわよ!」

「いや……しかしお前これ……」


一味は小さな港町に停泊していた。

そこにはのどかな町並みが広がっている。


「お! 可愛い娘〜……はっ!」


鼻の下を伸ばしかけたサンジの背中に、どす黒い殺気が押し寄せてきた。

その途端、心臓を潰されるような恐怖が全身を駆け巡る。


「いや〜……のどかでいいねぇ……はは……」


すました顔とはうらはらに、サンジのタバコを持つ手はがくがくと震えていた。


「ナ、ナミ怖ぇぇ! ナミ怖えぇぇぞ……!!」

「覇気か!? これが噂に聞く覇気なのか!?」


ゾロは一人船から降り立った。


「じゃあおれら適当に遊んでっから!」

「あぁ……。ありがとう」


穏やかな通りを抜けると、町の一番奥にその民家はあった。

家の外まで赤子の泣き声が響いている。


「今日はよく泣くのね……」


この家のおばさんは男の子はよく泣くものよ、といつも言っているが、今日は特に機嫌が悪いようだった。

艶やかな黒髪をなびかせた母親は、一つの手にはミルク、もう一つの手で赤子を抱いていた。

まったく、手が足りないとはこの事だ。

お気に入りのオモチャであやそうかしらと、もう一本手を生やした瞬間、


「ロビンちゃ〜ん!」


と呼ばれ、慌てて手を引っ込める。


「お客さ……あら? 今日は機嫌がいいのね〜!」

「え?」


見ると、我が子はエメラルドのような髪の毛を揺らし、いつの間にか笑っていた。


「じゃあちょっとあたし買い出し行ってくるから! ゆっくりしてってね!」

「……?」


出ていったおばさんとすれ違うように、ドアの前には男が立っていた。


「!!」


その男を見た途端、ロビンは驚いて吹き出した。


「ふふっ……! どうしたの? それ!」

「いや……あいつらがどうしてもつけて行けって言うからよ……」


ゾロはつけっ鼻とつけ髭を鬱陶しそうに外し、ため息をついた。


「……」


それからロビンの腕の中で微笑む子供をまじまじと見て目を細め、差し出してきた手をそっと握る。


「……探したぞ」

「えぇ……ごめんなさい」


ゾロは子供ごとロビンを抱き締めた。



町の奥のその民家からは、赤子の笑い声だけがいつまでも響いていた。




END






あとがき

最後まで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございました! 
このお話は当初は漫画で描こうとしていたのですが……途方もない作業に気を失い断念しました。

なので、いざ文章で表そうと思っても難しく、半年以上前に考えたものなので途中のストーリーを忘れていたり……で大混乱でした。

それでもなんとか終わることができてほっと胸を撫で下ろしながら、このあとがきを終わらせていただきます。

それではまた、どこかのあとがきで!


 

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