scar

□4.はじまりは突然に
1ページ/3ページ


村のはずれの森からナミが駆け寄ってくる。


「ロビン! よかった! 無事で……」


ロビンは抱きついてきたナミを受け止め、笑顔を見せる。


「あなたも……」

「なんだてめぇ……生きてたか」


会った途端、いつものように喧嘩を始める男共に、二人は呆れたようなほっとしたような表情になった。


「でも……驚いたわ。まさか同じ島だったなんて……」


4人は夕陽に向かって歩いていた。


「えぇ……。でもあの時見えてた島は一つだったと思ったの」


目の前では、まだゾロとサンジが言い争いをしている。


「それに……電伝虫は特定の電波しか受信しないわ」


ナミはあのときの事を思い出していた。



二人の静寂を破ったそのベルは、ナミのスカートのポケットから響いていた。


「これ……イカから盗んでおいた子電伝虫……」


ナミは魚人から投げ飛ばされた時に盗んでおいた子電伝虫を眺めた。


「! ……じゃあ俺が出るよ!!」


敵からかもしれないと踏んだサンジがナミから子電伝虫を奪いとる。


「……はい?」


その瞬間、聞き覚えのある声が二人の耳に飛び込んできた。


「もしもし? そこにナミはいる!?」

「ロビンちゃん!?」

「ロビン!?」


ナミが即座に奪い返す。


「ナミ……そこから灯台は見えるかしら……?」


島の中央には巨大な灯台があった。

それを挟んで、同じ島の両端に4人はいたのだった。


「でもロビン……大丈夫だったの? あいつ、スパンダムだったんでしょ……? 酷い事されたんじゃ……」


ナミは心配そうにロビンを見上げる。


「……えぇ」


ロビンは一度目を伏せたが、すぐに前方のゾロに向けて微笑んだ。


「でも……彼が助けてくれたわ」


本当の意味で、と声に出さない代わりに、ロビンはさらに美しく微笑んだ。


「……」


ナミも前方に目を向ける。

ゾロと言い争うサンジを見つめながら、自分の腕をそっと掴んだ。


(あの時……押さえつける力とは裏腹に……)


夕陽に透けるサンジの髪の毛がサラサラと舞った。


(すごく……優しいキスだった……)


ナミは、今の顔を誰にも見られないように、掴んだ腕を胸元に引き寄せ、一人俯いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ