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□2.ゾロ×ロビン
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暗い海の中。


(あれは…………魚人か!? チッ……何て速度だ。これじゃ見失っちまう……)


微かにロビンを確認するも、それはみるみる内に小さな点になり消えた。


(くそっ!)


と、その時ふと体が軽くなるのを感じる。


(ん……)


先ほどまでの激しい波のうねりが少し柔らかくなったようだ。


(嵐が去ったのか? ……う……どっちにしろもう息がもたねぇ……!)


急いで海面に向かって泳ぐ。


「ぷはっ!」


海上に顔を出したゾロは目を大きくする。

やはり嵐は去っていた。

空は晴れ、明るい視界の先に大きな影が確認できる。


「はぁはぁ……島だ…………ここか」


近づくと、港のような所にたどり着いた。


「よっ!」


陸地に立ち、ゆっくりと辺りを見回す。

普通の港町のようだった。

すがすがしい風が吹き、のどかな町並みが続いている。

さっきまでの出来事がまるで夢だったかのような錯覚にとらわれる。


「…………?」


しかし、町の中はあきらかに不自然だった。


「人っ気がまるでねぇ……」


のどかな町並みはとはうらはらに、辺りを不気味な静寂が包んでいる。


「…………」


もう少し歩こうと踏み出したその時、


「そんなに寂しがるな。ロロノアよ」

「!」


ゾロは振り返ると同時に刀を抜く。


「俺たちが一緒に遊んでやるからよぉ」

「へっへっへ」

「…………」


どこからともなくおびただしい数の人間が出てくる。

種族に統一性はなく、まるで各地から寄せ集められたかのような集団だ。

しかし、なぜか魚人は一人も確認できなかった。


「そうかよ……。じゃあたっぷり遊んでもらおうか」


ニヤリと笑ったゾロの瞳が怪しく光った。
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