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□1.プロローグ
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ある晴れた日の事だった。

空は澄みわたり心地よい風が頬をなでる。

ナミは思い切り息を吸い込みながら、しなやかな手足を伸ばした。


「う〜ん! 気持ちいい〜っ」

「ぽかぽかしてんなぁ〜。次は春島かぁ?」

「そうねぇ。気候が安定してるからそろそろ……」

「おぉ〜い! 野郎共! 島がみえたぞ〜!!」

「おぉ! ホントか!?」


はしゃぐルフィ達に駆け寄ろうとしたナミの動きがぴたりと止まる。


「……? ……まさか」


急いで階段を駆け上がりながら、空を見上げ確信する。


「みんなぁーっ!! 嵐がくる!! すぐに帆をたたんで!!」

「えぇーっ!? 嘘だろぉ!?」


しかし、ナミの言葉は本当だった。

辺りはすぐさま薄暗くなり、大きな雷鳴を合図に激しい雨が打ちつける。


「おぉい!! ゾロ!! 起きろっ!!」

「……あぁ?」

「嵐だよ!!」


ゾロは立ち上がろうとしながら、まだぼんやりとする視界の先にロビンがいるのに気づく。

必死にこちらに何かを訴えている。


「ゾロ!! 危ない!!」

「!!」


何かの木片がゾロを襲う。

とてつもない大きさだ。


「……くっ!」


しかしそれはゾロの目前で動きを止める。

無数にある美しい手で支えられていたのだ。


「!」


ゾロはすぐさま刀を抜き、大きなそれを真っ二つに吹き飛ばしながらあらためて驚いた。


「何でこんなもんが……」


ロビンとゾロは思わず顔を見合わす。

それは家屋の屋根だった。


「ふぅ……」


ロビンはとりあえずの危機を脱して少し力が抜けていく。


「……?」


が、体に妙な違和感を感じた。

ロビンの胴体にぬるりとした何かが巻きついている。


「!!!」


得体の知れないそれは、ものすごい力でロビンを海に引きずり込む。


「あ……!!」

「!」


そのままロビンは暗い海の中へ姿を消した。


「ロビーン!!!」

「チッ!」


ゾロは後を追い、嵐の海に飛び込んだ。

あっという間の出来事だった。
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