マクロスF―イカロスの翼―
□DEAD END
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「ええっ、来週のバイトは無理!?」
『悪ぃ、ルカ。その日はちょっと用があってな…じゃ』
「え、あ、ちょっと……切れちゃった」
シュンとうなだれる小さな背中、どーしよーなんて凹む少年、ルカ・アンジェローニは悩んでいた。
フロンティア行政府からのバイトの依頼でルカの所属する美星学園航宙科パイロット養成コースのアクロチームは一週間後の"銀河の妖精"ことシェリル・ノームのライブでオープニングのアクロバット飛行をする事になっていたのだが、メンバーの一人がドタキャンしてきたのだ。
「ったく、役者が舞台から逃げるなんてあのヤロー…」
憤慨しているのは早乙女アルト、一年前からパイロット養成コースに転入してきた、女とも間違える程の美貌を持つ美人パイロットである。
「そうカッカするなよ、姫。とは言え今更、4人でやるわけにも………」
姫と呼ばれてさらに血が上るアルトを無視して、顎に手を当てて悩むのは彼らのリーダー格である、ミハエル・ブランである。
「………あ、そういえば。あいつって今日、戻って来るんだろ?」
思いついたように声を出したのは、アルトだ。
「え、でも病み上がりの人に一週間後に飛べっていうのは………」
遠慮すべきだというニュアンスで言葉を濁すルカだがミハエルは不敵に微笑んだ。
「いや、"アイツ"ならやってくれる。」