罪咎の屍

□confide
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 ディズリア軍は駐屯地から大移動を始め、シュレイベル軍の退却して行った方へと進軍していった。

 ザッザッザッと一列になって一糸乱れぬ行進の中、地面を蹴り上げる兵士達のせいで辺りには黄色い砂埃が立っていた。
 トラックの中にはBLOOD部隊全員、それから後ろのトラックにはロベルト博士と助手と研究機材道具や薬品とロゼの入ったカプセル。更に後ろのトラックには大砲と様々な武具を積んだEAGLE部隊員のトラック。一列で歩く歩兵部隊の後ろからは「STANT」という特殊部隊が乗ったトラックが続く。「STANT」は負傷兵の救護と看病の任務を主としており、戦地に赴き治療するその殆どが女性だ。

 BLOOD部隊のトラックには静かな沈黙が流れていた。ルカ隊長とアマーリアは目を閉じ身動きもせずにじっと座っている。カズといえばまだ完全回復していないトールを支えていた。

「トール。具合はいかがですか」
 ロルフはトールに近づいて問うた。
「痛みはない。だけど随分体力を消耗した」
 心なしかただでさえ白いトールの顔が蒼白に見える。
「しばらくゆっくり休んでいたほうがいい」
 カズがトールの耳元で囁くように言う。トールはコクンと首を力なく縦に振った後、力を抜いたようにふーっと息を吐きカズに遠慮なく寄りかかって眠った。トールがようやく寝たのを確認してからロルフは小声でカズに話しかける。

「移動で駐屯地はどうなるんですかね」
「簡易テントか、あとは街の宿泊施設とか学校とかの建物を使ったりするんだろう。今までいた所だって元は刑務所だったんだぜ」
「え」
 確かに部屋は独房みたいだと思っていた。まさかの答えにロルフは少しばかり驚く。
「それにしてもお前もBLOODに入って部屋移って間もないのに移動なんてついてねえよな。次の宿舎も一人部屋ならいいんだが……」
「これだけの兵士が入るんですからあまり期待しないほうがいいでしょ」
「まあな」
 カズは眠るトールの髪を手でいじりながら笑った。
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