罪咎の屍
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「博士」
「やあ、ロルフ。体調はどうですか」
「良好です」
早々に研究室に向うと、ロベルト博士は持ってきた荷物の包みを解こうとしていた。傷が付かないように包装された布をゆっくりと剥がすと、中から大きなカプセルが現れる。
「博士、こちら準備できました。カプセルを装着します」
「はい」
白衣を着た助手が何やら機械の土台に大きなカプセルを乗せて半回転させる。カチッと音がし土台にカプセルが嵌った事を知らせると、下からカプセルの中に気泡がぶくぶくと湧き上がった。
「ロゼ」
ロルフはそのカプセルの中で眠っている少女の名を呼んだ。
「もう彼女は、ロゼ・シュヴァルツェンベルクではないよ。ディズリア軍人型戦闘兵器dtpg3594です」
それでもロルフはその少女に縋るようにカプセルに抱きついた。あの時見たようなバラバラな体ではない。肉片だった体はしっかりくっついて、縫い痕も見えなかった。生きていた頃と同じ美しいロゼだった。
「生きてる」
「生きてはいません。肉体が再生しただけです」
ロルフにはロベルト博士の声は届いていないようだった。ただ口をもごもごと動かしてロゼの名を呼んでいた。
「ロルフ」
ロベルト博士が手招きでロルフを呼んだ。
「この薬を飲んでおきなさい。傷の痛みが引くでしょう」
ロベルトはロルフに錠剤を渡した。いつもロルフが飲まされていたものだ。