罪咎の屍
□world of end
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遠くで爆発する音が聞こえた。ガタガタと揺れるトラックの荷台で毛布に包まりながらロルフはゆっくり目を開けた。乾いた地面の砂を巻き上げて黄色い風が顔に吹き付けてくる。顔も髪も砂っぽくて唇をなめればカサカサに乾いていた。
周りは家屋も町も見えずただ硬い地面が広がっているだけだった。都心を離れて約2時間、少しの仮眠を取っていたロルフはボーっとする頭で起き上がった。
「起きましたか」
「ええ…ここはどこですか」
「もうすぐ陸軍駐屯地の002‐B1基地が見えます。もうちょっと寝ていてもいいですよ」
そう言ってロルフの近くに座っていた男は毛布をかけ直してくれた。砂の舞う空気の中で男の着ている白衣だけが浮いて目立つ。
「ロベルト博士…」
「はい、なんでしょう」
「手の甲の傷が痛むんです」
「どれ…」
博士はロルフの手をとって傷を見た。縫い後が痛々しく手の甲にはしっている。
「大丈夫ですよ。他はどうですか」
「他は大丈夫です」
ロルフには幾つも大きな傷跡があった。左目の瞼の上と額、首筋と手足、背中と胸の辺りに縫合跡がある。まだ若い少年は大きな傷を体中に負っていた。
「痛む所があったら直ちに私に言ってください」
「はい、ありがとうございます」
ロルフは再び目を閉じた。いっそうにトラックの揺れが激しくなってきている。それでも体は睡眠を欲しがるようにゆっくりと重くなっていく。ロルフはまた眠りの世界に落ちていった。