【World of Destruction】

□終幕
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エピローグ
【永い旅の終わり】

「ヒカル…」

別れの時

マナの英雄であるセティの手によって

異界への扉を開き、そこへヒカルが扉を潜ることで

彼がいるべき世界へ帰すことができる

世界が彼の存在を感知し、自分の元へ引き寄せるからだ

フェルステッド家が見送る中、アルトリアだけはうつ向き、別れを拒絶しているように見えた

ヒカルはそんな彼女を見て、ため息をついた

「今までありがとな、アルトリア」

「…いえ…私は…」

「……まずは、お互いのやるべきことを終わらせるんだ」

「その上で、俺はずっと君を待ってる」

「わかっていますわ」

最後に顔を上げ、笑顔になった彼女に、ヒカルも笑みを溢した

「セティさん、父さんと母さんにちゃんと渡しておくから」

…セティから託された一通の手紙

それは異世界にいる彼女の友人達に宛てられたものだ

「えぇ、二人によろしくね」

「お待ちなさい、ヒカル」

「……この指輪を…」

「これは…」

「婚約指輪ですわ」

彼女の言葉に周りがざわつき始める

「はい!?」

『あら…プロポーズかしら?』

『…ほぅ…』

流石のセティも彼女の行動を予測出来なかったのか、面食らい、

見物に来ていたアクアリウスとティアマットは、動揺し、不安に駆られる人間達を見て、楽しそうに笑みを浮かべている

……元々、人間を苦しめてきたドラゴンなのだ、人間が困惑する状況に楽しみを見出だしていたのだろう
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