倉庫部屋

□浅間山観察日誌2
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【漫画版・無印】




その日、何故か爬虫人共が空から大量に降ってきて、ゲッターチームがその駆除を行った。
帰ってきたら、なんだか隼人の様子がおかしくて、検査をしたら案の定風邪を引いていた。

赤い顔をしてベッドに沈む隼人の姿に、風邪など引いた記憶のない竜馬はオロオロと見守っていた。
「なんかして欲しい事ないか?」
額のタオルを冷たいものに替えながら聞いた。

正直隼人は眠りたかった。
完全なる寝不足の不摂生が風邪ウイルスに負けた原因と竜馬と武蔵以外は知っていた。

「水くれ…」
それが終わったら今夜は武蔵のところで寝ろ。
そこまでは、思ったよりも熱で乾いた喉では声に出来なかった。
「水だな!」
役目を与えられた竜馬は途端に張り切り出した。
熱で苦しむ隼人の為に何かしてやりたい。
けれど風邪の苦しさが分からない竜馬には、何をしたらいいのかよく分からなかった。
竜馬の心配も好意も純粋に嬉しいが、その溢れ過ぎたヤル気が隼人の眠りを妨げているのを竜馬は知らなかった。

ひとつ頼んで、あとは風邪がうつったら困ると言えば、渋々でも理解するだろう。
隼人は熱に浮かされた頭で、穏便な竜馬の駆除方法を考えていた。
だから気付かなかったのだ。
突然流れ込んできた、冷たいようなぬるいような水がどうやって飲まされたものなのか。

「もう一口いるか?」
すぐ傍にある竜馬の顔は真剣そのものだった。
「…もっとくれ」
ぼんやりした頭でそう言うと、竜馬はコップから水を含み、口移しで隼人に水を飲ませた。
きっとストローもなく、起きるのも辛そうな隼人を思いやっての行動だろう。
他意がないのは分かっている。
それでも今までされるがままでしかなかった竜馬からの行動には、何かこみ上げてくるものがある。

「風邪うつるぞ」
なんとか絞りだした言葉に竜馬は笑いながら
「俺は風邪なんて引いた事ねぇから大丈夫だ」
誇らしげに胸を張った。

それよりもっとなんかして欲しい事ないか?
その姿は出来る事など少ないのに、母に手伝いを申し出る幼子の姿と重なった。

隼人は竜馬の頭をひと撫でして薄く笑った。
「水をもう少し。あとは、…一緒に寝てくれるか?」
「任せとけ!」
竜馬はパァと明るい顔になって、ウキウキと水の入ったコップを手に取った。
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