わたしの声が聞こえますか?

□山成瑠輝のいちにち
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私立明桜学園二年E組一八番山成瑠輝。性別は男、身長は高めで体重は軽め。だが決して華奢な体型ではなく、所謂細マッチョというやつである。

部活はバスケ部で、ポジションはSFとSGを兼任。試合での彼のチームの得点は、ほとんど彼の得点だ。

成績も、教科によって多少の差はあるが、総じて優秀。しかし普段の言動から、あまり優等生扱いはされていない。

「山成くん、おはよー」

「今日も寝てるよ……」

クラスの女子たちがそんなことを言いながら、机に突っ伏している瑠輝のそばを通り過ぎていく。完全に眠っているのか、瑠輝は全く反応しない。

そんな彼の隣で俯きがちに座っているのは、長く艶やかな黒髪をそのまま垂らした少女。多量の髪で顔が隠れ、表情が伺えない。

少女の名前は鷹村栄璃華。いつも独りぼっちの、孤独な少女。

蛇の目エリカ、という花がある。二月十日の誕生花で、花言葉は――孤独。

美しく幻想的で、孤独な蛇の目エリカ。
それはまさしく鷹村栄璃華の姿だった。

栄璃華も瑠輝と同じく眠っているのか、はたまた何かを考え込んでいるのか――誰にも分からない。誰も分かろうともしない。

誰も近寄らない。

誰も何も聞かない。

誰も彼女に触れない。

誰もが少女を孤独にする。

それが栄璃華の望んだこと。
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