□2 誰とでも付き合う男。
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「ちょっと、」
昼休みもあと10分。昼食も済ませぼーっと席から窓の外を眺めていたら、視線とは反対側から声をかけられた。
「あんた、斎藤茉莉だよね?」
「はあ…」
いきなり名前を呼ばれたことと、目の前の女が鋭い視線で見下してきたことに思わず怯んだ。
「ちょっと話あるんだけど、来て」
それだけ言うと彼女は、くるりと回れ右して、教室の出入り口へと向かっていった。
私もその姿を追って教室を出た。
教室を出た彼女の後ろを3歩分の距離を開けて歩く。
向かってる先は何となく分かる。屋上だ。
屋上に呼び出すなんてベタな、
はあ、と彼女に気付かれないように小さく息を吐いた。
呼び出される理由も、まあ、何となく分かってる。
面倒だ。と思うと同時に、次の授業なんだっけ?なんて考えてたらいつの間にか屋上へと続く扉の前に着いていた。
「入って、」
まるで自分の家に案内するかのように、屋上への扉を開ける彼女に、また小さく息を吐いて、扉をくぐった。
屋上から見える空は、雲一つ無い青空。
キラキラと輝く太陽が眩しくて、目を細める。
同時に背後から重たい屋上の扉が閉まる音がした。
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