□1 誰とでも寝る
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彼女は斎藤茉莉ちゃん
僕と同じ高校2年生で、同じクラス。
成績は中の下、見た目は中の上くらいでまあまあ可愛いと思う。


ここまではどこにだっている普通の女の子だ。


ただ、いつも一人でいて、友達と居るところは見たことない。
そして何より彼女が有名な理由は、彼女にまつわるある“噂”だ。


僕は“それ”を聞いても対して興味は湧かなかった、が、他は興味津々だったらしい。




『斎藤茉莉は誰とでも寝る。』


そんな噂は高校に入学して3ヶ月ほどで学年中に広まった。


寝る、と言ったってただの添い寝じゃあない。
まだまだヤリたい盛り、性欲旺盛な年の男子には、たまらない噂だ。


僕は生憎、相手には困らなかったので同級生たちがする噂話を軽く聞いていた程度だった。


そして高校2年の春。
僕は噂の彼女『斎藤茉莉』と同じクラスになった。


正直、初めて見たときはがっかりしたのを覚えてる。
もっと色気があったり、とびきり可愛かったり、高飛車な女とか気取った感じだと予想してたのに、あんなどこにでもいるような普通の子で拍子抜けした。


先生に仕事を頼まれれば引き受けるし、授業だって(たまにサボってるけど、)真面目に受けている。


見れば見るほど、噂の彼女とはかけ離れているように思えた。





――――そして今日、そんな噂の彼女と初めて会話した。





(初めて生ビンタ見た)
(そう?よくあるよー)
(…手形、付いてるよ)
(嘘!?恥ずかしー)

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