白黒あわあわ
□ファーストネーム
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「眠たそうだね、真城さん」
『んー…』
「毎日9時には寝てるのに、どうして眠いんだろうね」
見えないけど、きっと今も爽やかな胡散臭い笑顔なんだろうと想像が出来た。
足音が近づいて、どうやら相馬さんは私の隣に座ったっぽい。
……あれ、急に静かになった。
何も喋らない。…まぁいいや、これで安らかに寝れるし!
『ぶえっ…』
「あははっ。真城さんの頬っぺた柔らかーい」
ぱっちり目を開けると、相馬さんが私の頬っぺたで遊んでる。伸ばしたり縮めたり、引っ張ったり…!痛い!痛いよ!
『そ、まさん!いらい!きもちわりゅい!』
「ねぇ、佐藤くんに呼び捨てにされてるんだって?」
『うん?』
私の頬っぺたをいぢる手は止めないまま、にこやかに話す相馬さん。
『痛い!頬っぺた契れる!契れて死んじゃう!』
「じゃ。遠慮なく俺もファーストネームで呼ばせてもらうよ」
『別にいいけど痛い!ほら、涙出てきた!』
相馬さんの野郎…!全く話聞いてない!さっきから痛いほど無視してくる!
そこで相馬さんの手が外れた。やっと解放された私の頬っぺたは少し赤くなって、やっぱりまだ痛い。
憎さのあまり相馬さんを睨み付けると、相馬さんは満足そうな顔をしていた。
『…何が楽しいんですか』
「今、最高に幸せだからー」
『チッ…。くっそうまさん…』
「繋げないで!」
一体何がしたかったんだろう。この人は不思議だ(むしろ気持ち悪い)。ファーストネームで呼ぶくらい、なんてことないのにわざわざ…。
また私を眺めて笑っている。
一見優しそうに見える。…この笑顔、どうも嫌いになれないんだよねー。
「愛恵里ちゃん」
『………』
「愛恵里ちゃん…?」
『あっ、そっか!呼ばれ馴れてないから分かんなかった!…何ですか?』
「…普通、ここでトキめく所なんだけどなー」
『え?』
「いや、何でもないよ」
トキめ…?何言ってるんだろう。…まあいいや!
『相馬さん』
「何ー?愛恵里ちゃん」
『とりあえず私は寝るから、邪魔しないで下さい!仕事でもして!』
「邪魔って…、相変わらず酷いよ!」
『すぴー…』
「…もう寝ちゃった。」
ファーストネーム
(佐藤くん、俺も愛恵里ちゃんって呼んでいいって!)
(そうか、良かったな)
(だけど佐藤くんが先に呼び捨てなんて、何か嫌だなー。ね、佐藤くんのあの話、バラまいてもいい?)
(ばっ…やめろ)
(痛いっ痛いよ!首絞まってるからっ!佐藤くん!?)
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何かいつもきゅんきゅんしない気が。
これが私の文力って事で!←
いやすいません。
読んで下さりありがとうございます!