白黒あわあわ
□携帯電話
2ページ/3ページ
『そーうーまーさん!!!』
「あ。おはよう、真城さん」
休憩室に入ろうとすると、相馬さんは扉の前で立っていた。きっと盗み見か盗み聞きしてたんだろう。
『呑気にしないで下さい!』
「シーッ!佐藤くんにバレちゃうよ」
『知らん!バレちゃえばいいんだ!』
「え〜、佐藤くん痛いから嫌だなー」
『それより何で私のアドレスと番号知ってるんですか?』
「秘密ー」
『くっそう!相馬さんにだけは教えたくなかったのに!』
「うわぁ、それは酷いよ!」
知られたくない人ナンバー1だ!
「それより見る?今日も佐藤くん、面白いよー」
『あ、見る!』
相馬さんに導かれ、佐藤さんの様子を伺う。やっぱり佐藤さんは、八千代さんに振り回されてる感じ。佐藤さんの優しさが見ていて切ない。癒される!
『はー!今日も学校頑張ってよかったぁ』
「そうだねー。」
癒されてると、毎日学校を頑張っている甲斐があると実感する。
「だけど盗み聞きなんて悪趣味なこと、真城さんがしていいのかなー?」
『そう思うなら仕事して下さい。私は相馬さんと違って癒されてるだけ!』
「そう変わんない気がするけど」
『変わりますもん!相馬さんほど性格は悪くない』
「相変わらず酷いよ、真城さん」
そんなやり取りが続いた。
「でもまぁいいや!」
『ぬをぉおっ!?』
急に腰に違和感。あまりに突然で変な声が出てしまった。
「真城さんといれるなら!」
『ちょっ、何してんですか!』
「え、抱きついてるだけだけど?」
今の状況は壁←私←相馬さん、みたいな状況。プラス相馬さんが私に抱きついてるらしい。
何か腰がくすぐったい!違和感がハンパない!とにかくキモチワルイ!
『何か気持ち悪い!』
「気持ち悪いって…、流石に心折れるよ」
『私も分かんないけど心臓が痛いです!それに腰に変な違和感もあるし、くすぐったいし!』
後ろから抱きつかれている私。とにかく放れてほしい一心で、ジタバタしてみたけどビクともしない相馬さん。
そろそろ腰が限界!くすぐったい!なりより何故か心臓痛い!
そして相馬さんは笑顔を絶さず言った。
「もしかして、男に抱きつかれるのとか初めて?」
『初めてだけど関係ない!放して!』
「えー、嫌」
『佐藤さーん!助けて!!』
「ちょっ…、どうして佐藤くん!?」
「真城、どうした」
私の声に気づいた佐藤さんは、すぐさま駆けつけてくれた。
心配そうな顔つきだったけど、相馬さんが近くにいたのを見つけ、急に怖い顔つきに変わった。
「相馬、仕事しろ」
「さ、佐藤くん…?誤解だよ?おれはただ抱きつい…ああっ!フライパンはやめて!痛いから!!」
やっと私から放れた相馬さんは青ざめていた。ああ、面白い!爆笑したい!思いっきり笑いたい!けど笑うのを堪える私。
そして佐藤さんがフライパンを降り下ろした。
「うぅ、痛いよ…。佐藤くん…」
「仕事しろ」
そう言って仕事に戻る佐藤さん。その途中、軽く私の頭をこついたけど。どこまでもいい人!ありがとう、佐藤さん!
_