乾杯、堕天使。
□俺らの日常
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「はい、捕まえたー」
にゃあ、と手の中で鳴く子猫。
黙っていれば可愛いが、俺は騙されない。
コイツには裏がある。
「生徒会長。戻りましたよ」
「…」
「…生徒会長?」
子猫を生徒会室に放して会長の長い髪から覗く顔を見る。
…寝ている。
しかもだらしなくよだれまで垂れている。
「おーいッ、起きろ!」
俺が会長のわき腹を指でつつくと、会長は体を震わせ目を開けた。
「…何?」
「子猫、見つかりましたよ」
目を開ければ睨みつける会長。
それを聞けば目を輝かせる会長。
だらしなくよだれを垂らして寝る会長。
すべて我が私立白石高校の生徒会長の姿である。
「おォ、どこ行ってたんだ?小次郎。心配したんだぞー?」
加瀬瑞希。
容姿端麗な美女。
…なクセしてアクの強い人。
彼女はかなりフリーダムな人で、生徒会室で内緒で子猫の小次郎を飼っている。
むしろ彼女も猫のような人だ。
「そーかそーか。小次郎はお腹が減ったか。…阿南(あなん)、キャットフード買ってきて」
俺は青ざめる。
仮にも副会長なのに、ほぼパシリと化している。