えんぜるらいどおん
□夢はいつでもカメハメハ
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「キャアアアアア!!」
「ん?」
夜中の10時を少し回った頃。
彼女と僕は今日もギリギリの提出難を終え、帰る途中だった。
聞こえた悲鳴は駅近くのビルを見上げる人たちのものだった。
「じっ…自殺!?」
ビルの屋上に人影が見える。
制服の女子高生らしい。
「違ェよ。アレだよ。北斗七星眺めてんだよ。…もしくは“人がゴミのようだ”とか言おうとしてんだよ」
「どんだけポジティブ!?」
彼女は立ち去ろうとする。
「ちょっ、綾瀬さん!」
「何だよ。あたしはてめェみたいに女子高生のスカートの中とか興味ねェの。」
「誰がそんな卑劣なこと目的で立ち止まるか、ボケェ!」
彼女は面倒くさそうに頭を掻く。
「…んだよ、てめェは。なに?正義の味方気取りですかァ?偽善者気取りですかァ?」
「違いますよ!…でも、このままほっとくわけには行きませんよ」
「…チッ」
彼女は舌打ちをすると野次馬の中に入り込む。
「ハイハイ、メス豚どもは退いた退いたァ」
手探りで彼女を探そうとするがあまりの人の多さに身動きが取れない。
その点彼女は細身だから便利だ。