一緒に歌えって強制されて音痴がバレたら誰が責任取ってくれるんですか 「ド〜は、ど〜エス〜の〜ド〜♪」 ズシャッ 「レ〜は、レ〇プのレ〜♪」 ズシャッ ズシャッ 「ミ〜は……」 ザシュッ 「ミ〜は…………?」 「皆殺しですぜィ、亜夢。土方含む」 ドカッ ヒュッ ザシュッ 「の、ミ〜♪」 まるで数え唄でも歌うかのように歌に合わせて一人、また一人と地に伏していく。 「テメェラっ! 討ち入り中になんて歌、歌ってやがんだッッ」 ばきぃぃいx2 「ったぁ〜!?」 「ひでェですぜ、土方サン。仕事はちゃんとやってまさァ」 「総悟に教えてもらったんですよぉ、”ドSの歌”。討ち入りの時の歌だって」 「嘘を教えちゃイケマセンっっっ!!!!! っていうか、曲名もちげェよっ、”ド”しか合ってねェだろがっっ!?」 攘夷浪士達の潜伏先を突き止め、先行隊として斬り込みの一番隊を放り込んだのが十数分前。 一通り入り口付近の浪士たちを制圧し、奥に潜んでいるであろう大物を追いかけているであろう沖田たちを追いかけてみれば、暢気にとんでもない歌を歌いながら敵を斬り伏せる一番隊隊長とその助勤がいた。 「ここからがこの歌の盛り上がるところなんでィ」 一瞬ほんわかムードが漂いかけたものの、沖田たちは再び浪士たちに目を向け、にやりと嘲笑う。 殺気立った浪士たちは仲間の死を目の当たりにしても、逃げるどころか一層こちらに向かってくる。 ――――もちろん建物の周りはすでに真選組がぐるりと取り囲んでおり、逃げようにも逃げ場などないのだが。 「ウオオオォオォォォォ!!」 「ファ〜は、ファ〇クのファ〜♪」 雄叫びをあげて斬りかかって来る浪士の刀を紙一重で避け、 ザシュ 踊るように一人、その返り血を避ける為に音もなく移動したところで突っ込んでくる敵をまた一人。 沖田の方もそれに合わせて亜夢とは反対方向、背後から迫り来る敵へと刃を向けた。 真選組副長の登場に、土方さえ仕留めれば形勢逆転できるとばかりに勢いは止まることない。 たかが二名の隊士にさえ手も足も出なかったやつらがそれをどうして成し得よう。 「いい加減にやめねぇかっ!!」 「えー、だってこの歌歌うと気分が乗るんですよ?」 「ダメですぜ、亜夢。むっつり土方は”ドMの歌”じゃねェと気分が乗らねぇんでィ」 「あー、なるほど」 「なるほどじゃねェェエエエエェ!!!!!」 他の隊士達は三人がいるなら、と残りの始末は任せて既に後始末に動いていた。 息のある者の捕縛、怪我人の収容。やることは多い。 響く土方の怒声にとばっちりが自分に向くことを恐れたとも言える。 「ソ〜は、総悟のソ〜♪(よっ、ドS王子←合いの手)」 キンッ ざくっ ポイッ 「ラ〜は」 「乱交」 「の、ラ〜♪」 組随一の剣の腕を持つ総悟とその助勤である亜夢が揃えば、雑魚浪士など赤子の相手をするようなもの。 そこに土方が加われば言わずもがな。 「シ〜は」 「死ね土方」 「よーーーしっ、お前らも一緒に斬ってやる、斬ってやるからかかってこい!!!!」 緊迫の討ち入りが喜劇へと早変わり。 だがその間も手は休むことなく刀を振り続け、圧倒的な力でその場を制圧し最後の一人を土方が斬り終えた時、刀に付いた血を払い鞘にかちりと収め、息を乱すこともなくクルリと亜夢は振り返った。 「さあ、う〜た〜い〜ま〜しょ〜♪」 「歌わねェよォオオオオォ??!!!」 いつものように真選組は元気です。 |