触れる手、交わす言葉、繋ぐ心

□10月  −一難去って、その後は?−
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それから曲目を話し合って、時間の関係もあるから全部で四曲にすることにした。もちろん私の曲はなくしてもらったよ! だって私達の作曲家は七海さんだからね(って押し切った)。

七人の曲二曲とA、Sクラスそれぞれの曲、間にMCなんかも挟めば足りない分は補える予定。

トキヤくんはステージ慣れしてるだろうから、心構えとか後で聞いておこう。それからやっぱダンスだよね。これは翔くんの得意分野だから、翔くんを中心にみんなで考えることになった。
基本ノリの良い曲ばかりだから、見てる人も一緒に踊れるような振り付けがあっても面白いかもな。

というところまで話し合って今日は一旦帰宅(帰寮?)しました。

今回の曲目の中には、本来なら卒業オーディションで歌う予定のものも入ってるんだけど、学園祭で歌うならまた何か違うものを用意した方がいいかもしれないなぁ。

七海さんはたくさんのラフを上げてくるから、その中からみんなが気に入ったものを煮詰めていく。だから曲数自体はかなりあるんだよね。

本当はどの曲も素敵で全部形にしたいというのが本音。だけどさすがにそれは出来ないから、気に入ったものを一人ずつ挙げていってそこからまた絞り込んだり、良いところをピックアップして別の曲にしてみたりするんだけど、でもたまに「これだ!」って全員の意見が重なる。

それが今回選ばれた四曲。

A、Sクラスのは別として七人で歌う二曲はどちらもが、私達が勝負を賭けるに相応しい曲だ。だから絶対に良いステージになる自信はある。

とりあえず一人で出来ることって言ったら、Aクラスのユニットソングの練習かな。楽譜ももらったし、まだパート分けしてないからそれでも考えてみようかな。

あ、どうせなら音也くん達と歌いながらの方が早く決まるかもだけど、みんな忙しいかなぁ……?

なんて思ったら、部屋の扉がノックされたと同時に名前を呼ばれる。


「サクちゃーん、入ってもいいですかぁ?」


本当に良いタイミング! 那月くんがメインで歌ってるところ結構あるし相談に乗ってもらおう。

急いでドアを開けると、なんと那月くんの他に音也くん、真斗くんのAクラスメンバーが揃っていた。


「やっほー、朔夜。今大丈夫〜?」

「ええ。ちょうど音也くん達を訪ねようかなーと思ってたので、ナイスタイミングでした」

「それなら良かった。俺達の歌なんだが、パートを決めた方がサクも練習しやすいと思ってな」

「うわぁあ、僕もそれを考えていたところなんですっ」


これぞ以心伝心というかテレパシー!


「ふふっ。僕達、サクちゃんと繋がってるんですねぇ」

「そうみたいですねっ。どうぞ上がってください」


ソファに座ってもらって楽譜をテーブルに。オーディオにCDをセットしていつでもかけれるようにしておく。

同室の人がいない私の部屋は、ちょっとした練習や話し合いにちょうどいい。何かと集まっていたら、いつの間にかみんなの好みの飲み物とかも常備するようになっちゃった。っていうか、みんなが持ち寄るから置いてあるって言った方がいいか。冷蔵庫とかは勝手に使ってもらってる。


「お待たせしました」

「すまないな」

「んー、いい匂いですねぇ」

「これ初めて飲むかもー」

「こないだ真斗くんが持ってきてくれたやつなんです」


こうやってもらったりするから余計種類が増えるんだよね。真斗くんやレンくんが持ってきてくれるものは本当にすごく美味しくて、しかもなんだか高そうだから、申し訳ない気がするけど嬉しい。一人で頂くのはもったいなくて、みんなが来た時にはこうして出させてもらってる。


「それじゃあ早速ですけど」

「うんっ。どうする、音聞く?」

「それよりまずはパート分けした歌詞を見た方がいいな」

「Aメロなんですけど、四つに分かれてますからそこはサクちゃんが入ればちょうどいいですよねぇ」


やっぱり歌ってる本人達は曲のことを良くわかってるから、すぐに意見が出てくる。歌う歌詞のフレーズのイメージとかもあるから、それらも交えた上でパート分けをした方が良いよね。


「Bメロは四ノ宮がメインで歌っているわけだから、これを一番と二番で分けるのはどうだ?」

「歌ってない時は俺達と一緒のパートだねっ」

「二番の歌詞は、那月くんの方が良さそうな気がします」

「ではそれで。サビは音也くんのところをサクちゃんが一緒に歌うのはどうですかぁ?」


こんな感じでどんどん決まっていって、一通り決めた後は音を流して実際に歌ってみた。

聞いてて疾走感ある曲だとは思っていたけど、英語部分とかかなり早くて難しい。発音に気を取られるとちょっと遅れちゃったりするから気をつけないと。


「やっぱ俺、朔夜と歌うの楽しいやっ!」

「僕もみんなと歌う時が一番楽しいですっ」

「サクちゃんの声は伸びがあるので、合わせる方も乗せやすいですね」

「そうだな。ハモリが安定しているとメインパートも歌いやすい」


逆に言わせてもらえば、三人の音がしっかりしてるから私も合わせやすいんだよね。

歌詞も夢に向かって歩んでる気持ちとか、みんなと一緒にやることの期待とか絆とか、そういうものが込められてるから感情も込めやすい、さすがだ。


「絶対、成功させましょうね」

「大丈夫! だって俺達最強だもんっ」

「ええ。ハルちゃんのと〜ってもいい曲を気持ちを込めて歌うんですから、みなさんきっと気に入ってくれますよぉ」

「まずは俺達自身が楽しんで歌うことだな。そうすればその想いは皆にもきっと伝わるだろう」


最強、うんたしかにそうだ。これだけの個性ある魅力的な人物が揃ってて、それが歌声となってひとつのハーモニーを奏でる。それってとってもすごいことだよね。

ますます学園祭が楽しみになってきた。早くみんなの前で歌いたいな!











前回序章とか言いつつ、今回も本編突入出来ず。なんか抽選行って焦らすレンが書きたかっただけです。
Aクラスユニットソングは"あれ"を思い浮かべながら書いてます。
とても分け易かった……それに比べてSクラス……これは深くは突っ込むまい。

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