触れる手、交わす言葉、繋ぐ心

□7月  -ハプニング-
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「おい、神宮寺」

「ん、何だいリューヤさん?」

「放課後、俺んとこまで来い。理由は……わかってるな?」


ふぅ、とひとつ吐息を零して了承を返す。やっぱり見逃してはくれないか。

オレは結局、期限内に課題曲のどれも選びはしなかった。
本気で作曲家を目指して曲を作ったというのに、オレのようにただ惰性で通ってるやつに歌われるなんてどう考えても失礼だろう。オレにだってそれぐらいの分別はある。ただし、オレはオレの力を十分理解しているから、どんな曲を歌ったとしてもそれなりの結果が出せることも承知している。

だけどさすがに課題を放り出すようなマネをしちゃ、お咎めなしってわけにはいかないか。

心配そうにこっちを見つめるアッキーに「大丈夫だ」と笑ってやる。彼もきっとオレが何故呼び出されたのか気付いたに違いないから。










そして放課後、リューヤさんに呼び出されたオレは子羊ちゃん達の誘いを断り職員室を訪れた。

するとそこにはリンゴさんも待ってて、オレは二人に連行されるように別室へと連れて行かれた。別に逃げやしないのにね。


「さて、曲を選ばなかった理由を聞かせてもらおうじゃないか」


部屋に入った早々、リューヤさんは切り出してきた。厳しい目つきでこちらを睥睨してくる様は噂どおりの総長様って感じだね、怖い怖い。けどそんな目で見られたってオレがやる気を出すはずもないこと、リューヤさんならわかりそうなものだけどな。


「どの曲も一緒だからだよ、オレが歌えばどの曲も美麗に歌い上げることが出来る」

「そう言うからには、ちゃんと曲は聞いたのよね?」

「その必要性は感じなかった。だから聞くこともしてないよ」


アイドルになる気がないのに、それをしなければならない理由がない。


「このままじゃ、退学になっても文句は言えねーぞ? テストを放り出すんだからな」

「歌わないとは言ってないよ。曲はなんだっていいし、歌詞だって一応は作ってある。
レディ達の曲以外だったら別に誰のでもいいんだけど、PCにアップされてるのは匿名制なんだろ?誰か一人を選んで、傷付く子羊ちゃん達を見たくないからさ」


なんて、口からでまかせもいいとこだ。まぁ何割かは本当にそう思ってるんだけど。
オレが誰かの曲を選ぶことによって、それに悲しむレディがいるんだとしたらオレのポリシーに反するからね。


「それはお前が本気になれない言い訳だろーが」

「っ、」


さすがは教師、ってことか。そこまで見抜いてるなら、オレが本気を出せるようにでもしてみせればいいのに。


「今回は特別だ。おい、林檎」

「これを聞いて何も感じないというなら、あなたはここにいても意味がないわ。
テスト当日までに仕上げて来なかったら、その場で退学決定、いいわね?」


別に今すぐでもオレは構わないんだけど、家の体裁を気にするあいつがそれを許すはずもないな。

リンゴさんが持っている二枚のCD−R。このどちらにも彼らがその才能を認めた曲が入ってるに違いない。けどそれをオレが気に入るかどうかはまた別の話だ。


「気が向いたら聞いておくよ。んじゃ、話は終わりだね」


これ以上何を言っても無駄だとわかってくれたんだろう。オレが背を向けても二人は引き止めようとしなかった。

オレが本気になれるのは、今のところ彼に関してのみだ。それ以外に興味もない。

まぁ、もし気が向いてこの曲を聞いたとして、それがオレの心を少しでも熱くするような何かがあったなら、歌ってやってもいいかな。

だからと言って、オレがアイドルを目指す気にはならないだろうけどね。











イベント事ばっかでプリンス達を落としきってないので、そろそろ…ね。
なので少し突っ込んで書いていこう! ということで書きやすいレンから!
ってのっけからヤバイですけどね、レン。ふふ、トキヤも何気にひどいこと言ってます。
なんだか最近、レンが好きすぎてたまりません。
でも…このサイトでレン需要あるのかな…。やっぱ財閥絡まないとだめか。
こっからどうやって朔夜ちゃんと発展させるのか……。
ま、レンはほぼ初めっから気に入ってましたから軽く…いけるか、な。

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