触れる手、交わす言葉、繋ぐ心

□プロローグ
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「んんんんんん、ピピっとキマシタ!!」


私は今、面接している。
倍率200倍という超難関、アイドル養成学校である早乙女学園で。

目の前には学園長であるシャイニング早乙女、それから現役トップアイドルでもある月宮林檎と日向龍也。

すでに実技、学科試験を終えこれが試験の最後である。

少し緊張した面持ちのまま挨拶と自己紹介をし、勧められたパイプ椅子に腰を下ろして正面を見つめる。

その瞬間だった。先程の早乙女さんの台詞は。

彼の左右を挟むように席についている月宮さんと日向さんも何故だか少し目を瞠っていた。


「これは…」

「やだ、なにこの子。写真よりずっと……」


ボソリと呟かれる言葉も小さすぎてこちらまでははっきりと聞こえない。


「よく今までどこにも持ってかれなかったわよねぇ」

「だな」


言ってる意味がわからず少し首を傾げる。
キラリと早乙女さんのサングラスが光った気がしたのは気のせいだろうか。


「社長、これは押さえとかねーと後で後悔するぜ」

「シャイニー、アタシも同意見よ」

「わかってますよぉ、林檎サーン、龍也サーーン!」


そう言って早乙女さんはガタッと椅子から立ち上がるとそのままの勢いでビシィッと私を指差した。


「YOUは採用デース!!!」


採用って…バイトの面接じゃないんだから……って!?


「はぁあ!?」


こちらもびっくりして立ち上がってしまった。

バタンと倒れた椅子にハッと正気を取り戻し、今が面接中であることを思い出す。素早く椅子を直し、ゆっくりと深呼吸してから再び席に座る。


「どういうことですか?」


試験の結果も待たずしてここでのいきなり合格発表。
上手い話には裏があるはず。


「実技や学科の結果はまだ出ていないはずです。それに、合格発表は確か郵送でしたよね?それをこの場で入学を決めて頂けるのは有難いことですが……何か条件でも?」

「はっはっハッー、賢い子は嫌いじゃアリマセーン」


ニヤリとした笑みを浮かべた早乙女さんは一旦椅子に腰を下ろし、机に肘を付き、両手を口元で組み合わせる。

しばらく私を見つめた後(サングラス越しなので本当にそうなのかは分からないがはっきりと強い視線を感じた)、再びニヤリと笑った。


「YOUにはオンナノコとして生活してもらいマース!」


………………………


え?


「えっと、いや。私……女ですけど?」

「そんなことはワカッテマース。ミーが言ってるのは『オンナノコ』デース!」

「だから、女の子ですよね?」

「ノンノンノーーーン!!」


ペンを取り、近場にあった書類にサラサラッと何かを書き込むとそれを私に見せた。


『男んなの子』


男……んなの子?


「はぁああああぁ!???」


私が二度目の叫びを上げたのは言うまでもないだろう。







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