RO本棚

□日常の贈物
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愛しい人を待つ間にテレポートで足早に首都の露店を覗く。
――いいの無いなぁ。
手頃な値段の物はどれももう買って居る。
『矢筒』の看板に、ふと足を止めた。
弓一本持って無い俺が足を止めた理由は…彼女がハンターだから。
矢の収集癖もあるから…喜んでくれるかな?

そう。
俺の買い物は大抵彼女への贈り物だ。


「ありがとう♪」

嬉しそうな一言を貰えるだけで値段だとかどうでも良くなってくる。
彼女の綺麗な金髪を飾るミストレスの王冠も、この間着けて居た金の鈴も…どれもが彼女の可愛らしさを強調してるし、最近着けて居た狐のお面は彼女の為に在るんじゃなかろうかと思ってしまう程に似合ってた。
「…倉庫パンクした」
悪戯っぽく笑って言われて、過去を振返る。

  初めて彼女にあげたモノ。

出会った頃、俺はアサシンで…敵から入手した弓をどうするか悩んでた。
「カード挿すのに良いし、それなりに売れるよ?」
そう助言した彼女に、何となく贈ったら…酷く喜ばれた。

そこから俺は、その素直な笑顔に魅せられたんだ。
「俺と結婚しない?」と、告白した事も1度じゃあ無い。
初めは…冗談で流されて……でも諦めなかった俺は、彼女の喜び色に染まった笑顔が見たくて日々何かと贈り続け、本気を伝えて、今に至る。

そう…彼女は、俺の最愛の奥さんだ。


「使わないモノ…預かろうか?」
彼女の倉庫には過去贈った趣味な装備品や、様々な弓が眠って居るんだろう。
…ああ、彼女はそういやぁ収集癖があったから、趣味な収集品の宝石やらクローバーやらもあるんだった。
「大丈夫。
それよりさ、新しい弓作ったから何処か試し撃ちに行きたい」
明るい声で微笑まれて、「何処でも」と、紡いだ。
DEXに特化した彼女の為に俺は日々体力増加に努めてる。
彼女が行きたいと言う場所に着いて行くために…彼女の為に支援したいから。
「ん〜…じゃあ、水矢余ってるし、火属性の処行こうか」

馴れた動きで弓を手に、「にんじん」と命名されて居るペットのデビルチに餌をあげる君。
そのペットも一緒に捕まえに行ったんだっけ?
「火って何処があるかなぁ? スフィンクスとか…そうだっけ?」
彼女から転職祝いに貰った聖職衣に、彼女と一緒に手に入れたシルクハットを被ってポータルが在ったか見る。
「モロクで呼ぶから待っててね」
俺の言葉に、彼女は頷いて腰を降ろした。
見慣れた草地に背を向けてカプラ職員にモロクへ飛ばして貰う。



乾いた砂漠の風と澄んだ空の下、ダンジョンへ足を早目て想う。

今日も明日も、ただ、君の笑顔が見れます様に。



END.


仮想金貨の財布は常に寂しい感じなはる太郎。
ばかっぷるばんざい。
 

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