Microbe of necessity

□嘘95%含 微炭酸
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 Give me love

 if we get it, can fly fly...

 そして 外れる











ギターを掻き鳴らす音

スティックがスネアを叩く音


それらの音が充満する狭いスタジオで、ボク達は練習をしていた。近々催されるギグの為の練習だ。
今回は主催が自分達ではないから、参加して曲を演奏すると云う楽なポジションで、だからというわけでもないが、少々気合い抜けしていたりする。


「ダメじゃん」


レスタトが溜息混じりに叱咤した。
彼は、その鬱陶しい程の長いブロンドヘアを纏め、ギターを立て掛けた。

レスタトはボク達のバンドのリーダーである。
確かに、今の演奏では愚痴も溢したくなるだろう。


「ティミーも。笑ってないで体力付けろよ。ぶっ倒れるぞ」


分からないように笑ったつもりだったが…しっかりバレていたようだ。レスタトが眉間に皺を寄せ、こちらを見ている。


「ぁぁ…そーね。でもデブったら嫌じゃろ?」


そう答えたボクに、直ぐさま後ろから、「ありえねー」なんて笑いながら口を挟んできたジョシュアを睨んでみる。


「まぁ、そうぶすくれんなって。それに俺達が太るってのはそれなりの代償が必要だしな」


その一言で周囲を冷たい空気が包んだ。
皆、静かに微笑っている。

そう、ボク達は人間じゃない。
血を啜って生き長らえているのだ。
そんなボク達を、人間は“ヴァンパイア”と呼ぶ。
ヴァンパイアの中には、悪行をする者もいるけれど、ボク達は生きる為だけの最低限の血を闇夜に紛れて戴いたり、血液バンクを利用していた。
時には、交渉により提供してもらうこともある。
勿論、相手を仲間にする事もないし、貧血で倒れる程貰う事もない。
コレは現代を生きるボク達“ヴァンパイア”の暗黙の掟だ。

そう、人間と共存を選んだボク等の。





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