短文2

□あと少し
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あと少し


寮に着いた途端、まるで図ったかのように、ポケットに入れたままの携帯が鳴った。
着メロ設定してるから、送信してきたのが誰かは分かってる。
それでも心臓はドキッとして、携帯を取り出す俺の手はいつも震えてしまう。ぱか、と携帯を開くと、いつものようにたった一言、『また明日な』とだけ書かれたメールが表れる。
勝呂は絵文字なんか使わないし、さっきまで一緒にいたんだし、意味がないと言えば意味がない。
それなのに、こんな小さなことが、すごく嬉しい。
また、明日。明日も、勝呂に会えるんだ。
勝呂からのメールは、全部保存してる。時々携帯を取り出しては、こっそり眺めてる。
恥ずかしいから、本人にはとても言えないけど。

俺は、つい緩んでしまう頬をなんとも出来ずに、携帯を両手で掴んだまま、胸に抱きしめた。


……………
20140522

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