短文


□あまい蜜
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燐不満



勝呂は朝早いし、授業後は祓魔塾がある。
夜は俺も修行してるし、そうすると、二人で会う時間なんてほんの少し。お互いに目標に向かって努力してる訳だから、そのことに不満はない。
ない、けど…

だからこそ、貴重な二人の時間にもっとくっついていたいと思う俺は、おかしいんだろうか?



昼休み、人気のない教室で、くちくなった腹を抱えていると、とろとろと眠気が襲ってくる。
せっかく二人でいるのに、例によって眉間にシワを寄せながら本を読んでいる、俺の恋人。


「眠いんか?」
「ん?んー…ちょっと」
「授業で散々寝とんのに、よう眠れんなあ」

呆れたように言うけど、くしゃっと頭を撫でてくれる手が嬉しい。

「時間が来たら起こしたるで」
その手で俺の頭を、肩にもたせかけてくれる。
勝呂の顔が間近に見えて、心臓がはね上がった。



あ、キスしたいなあ。


好きなら当たり前の気持ちだと思うけど、勝呂は学校でそういうことをするのを、すごく嫌がる。
だから、俺だけが勝呂の事を欲しがってるみたいで、少し悲しい。

寝てていいと言われたけど、一度考えてしまうとドキドキしてきて、眠気が覚めてしまった。
でも、起きたら勝呂が離れてしまう。
学校でこんなに勝呂が近くにいてくれることって滅多にないから。
シャツ越しに勝呂の体温を感じながら、俺は寝たふりをすることにした。


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短文ですが続きます。
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