□受け入れる私も、同じくらい幸せで
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唯は、人とスキンシップをとるのが好きだ。

親しい人と、手を繋いだり、頭に触れたり、抱き付いたり。

それは、私に対しても例外ではなく。

「和ちゃーん」

なんて、所構わず抱き付くのは、いつものこと。

「しょうがないわね」

最初の頃は、人前で抱き付かれるのは、多少抵抗はあった。でも、慣れとは怖いもので。すっかり、それが当たり前になってしまった。

「えへへ」

その幸せそうな顔を見ると、引き剥がすことを躊躇してしまうようになってしまった自分も、ちょっと重症。
他の人に抱き付いてる時と似ているようで、全然違う表情。そんな彼女を、愛しいと思う。

その意を示すべく、包み込む腕に力を込める。
それに応えるように、唯は私に凭れ掛かり、胸に顔を埋めた。

制服越しに、唯の鼓動や体温が伝わる。逆に言えば、私の鼓動や体温も、唯に伝わってる筈だ。

温かい。何より、なんだか安心する。

それらを暫く堪能した後。
唯がポツリと呟いた。

「大好き」

私もって返すのは、恥ずかしかったから、素っ気なさを装おって。

「知ってる」


装おい切れてなかったのか、そんな私の言葉に対して、唯は一瞬だけ顔を上げて、これ以上ないくらいに幸せそうな笑顔を見せて、再び私の体温を堪能し始めた。

幸せを感じてるのは、温もりや安心感をもらってるのは、私も同じで。
でも、上手く言葉に表せられなかったから、その分思い切り抱き締めた。
唯は、嬉しそうに。苦しいよって言って笑った。


End




























あとがき
抱き付かれた時、実は和も幸せに思ってたり、安心出来てたらなぁという妄想の産物です。

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