♪♪

□桃の節句、酔っ払い二名発生
1ページ/1ページ

桃の節句。

今日は、一緒に雛祭りを祝おうと憂に誘われて、私は平沢家に向かっている。
そして、辿り着いてインターホンを鳴らして、少し待つと扉が開かれて。

「いらっしゃい。梓ちゃん」

嬉しそうに笑う憂が、出迎えてくれて。

「ささっ、上がって」

「うん。お邪魔します」

そのまま、手を引かれてリビングへ行くと。

「あ、梓ちゃん。いらっしゃい」

和先輩が雛壇を飾ってる真っ最中で。

「おっ、やっと来たね〜。あずにゃん」

唯先輩は…予想通りというか、小道具で遊んでた。和先輩に任せきりで、何やってんですか。

「今日は。私も、何か手伝いましょうか?」

荷物を置きながら、どちらにでもなく声を掛けると。

「ありがとう。梓ちゃんは、憂の手伝いをお願い」

応えてくれたのは、和先輩。唯先輩は、小道具に夢中。

「了解です」

苦笑しながら、ダイニングへ向かう途中、呆れる和先輩の声とぺしりと叩く音、あいてって唯先輩の声が聞こえた。

「憂〜、何か手伝えることない」

声を掛けると、憂は振り返って。

「ありがと〜。後は、料理の盛り付けくらいだよ」

様々な料理の入った鍋やらを指差した。
ちらし寿司とか、お刺身とか。その他いろいろ。

「相変わらず、凄いね」

「みんなに食べてもらいたくて、張り切っちゃった。これとか、梓ちゃん好みに味付けてみたんだけど、味見してみる?」

そう言って、憂はおかずの一つを摘まみ、はい、あーんって笑顔で差し出す。当然、断れる訳もなく、有り難く頂いてみる。

「ん、おいし」

「えへへ〜」

私の反応に、憂は満足そうに笑う。まぁ、憂の料理はどれも美味しいんだけどね。
さっきの行為と、好みの味ということが、美味しさを倍増させた。


――――――

「料理持って来たよ〜」

「雛壇の飾付けは終わりましたか?」

憂と二人で料理を運んでいくと、先輩方も一段落ついたとこのようで、丁度寛いでいたところだった。
それから、いつもみたいに料理を食べて、和やかな時間を過ごしていると、憂がおもむろに立ち上がる。

「そうそう。白酒っていうのを買ってみたんだけど、皆で飲んでみようか?ちょっと温めてくるね」

そう言って、憂はまたリビングへ消える。

「え?甘酒じゃなくて?」

雛祭りの定番と言えば、家では甘酒だったんだけど。

「甘酒買うつもりが、隣にあったやつ間違えて買っちゃった」

なんて、てへっ、って笑ってるのは、唯先輩。
買ってみたんじゃなくて、本当は間違えたんですか。折角、憂が気を利かせて誤魔化してくれたというのに、この姉は。

「でも、それって普通にお酒ですよね?大丈夫なんですか?」

「少しくらいなら、大丈夫じゃない?聞いた話だと、飲み口は良いらしいし。明日も休みだし」

わぁお。
和先輩って真面目そうに見えて、実は何気に大雑把ですね。

「大丈夫だよ、ちょっとくらい。甘酒と変わんないって、多分」

同じような言葉なのに、唯先輩が言うと説得力皆無ですね。

「お待たせ〜」

そんな会話をしていると、憂が四人分のカップと、

「おかわりもあるよ?」

ちゃっかりおかわりの入ったポットまで持ってやって来た。

「んじゃ、早速飲んでみようか」

言うが早いか、唯先輩が興味津々といった感じに、口を付ける。

「おっ、甘くて美味し〜」

「あ、本当だ」

唯先輩の反応に、憂も安心したように飲み始めて、続いて和先輩も。

「本当ね、でもあんまり飲み過ぎないように…」

「おかわりっ」

って、唯先輩。和先輩の忠告聞いてました!?

「はいは〜い」


憂もノリノリでお酌しないでよ。
溜め息を吐きながら、私も白酒を一口。確かに、甘くて飲み口は良いけど、一口だけで体が火照る感じから、アルコール濃度はかなり高そうだと、なんとなく思った。
既に二杯目を飲み干している唯先輩も、自分のカップにおかわりを注いでいる憂も、顔が火照っている。唯一、一杯をゆっくり味わって飲んでいる和先輩だけ平気そうだった。
と、

「うふふふふふ」

唯先輩が壊れた。机に突っ伏して不気味に笑っている。
正確には、酔ったんだと思うけど。和先輩は、言わんこっちゃないとでも言いたげな表情で、唯先輩の背中を撫でる。

「の〜ど〜か〜ちゃんっ」

据わった表情で、和先輩を見詰める姿は、明らかに酔っ払い。

「はぁ、もう。飲み過ぎないようにって言ったでしょ?今、水を持って…」

そう言って立ち上がろうとした和先輩は、バランスを崩し、そのまま倒れた。
っていうか、押し倒されちゃったらしい。丁度炬燵の隠れて見えないけど。

「水よりも、和ちゃんが欲しいな♪」

「ちょっ…ゆっ…」

見えなくて良かった。この様子だと今、和先輩は襲われてる真っ最中だ。
なんて、呆れなのか安堵なのか自分でも良く分からない溜め息を溢していると。

「えへへへへ」

隣に居る憂の目も据わってた。
こっちにも酔っ払いが居たよ!?

「あ〜ず〜さ〜ちゃんっ」

「にゃ〜!?」

こうして、私も憂に押し倒される羽目になる。
まぁ、酔った二人は、恋人限定のキス魔になっちゃっただけで、たっぷりとキスしたら寝ちゃったから、今回は事なきことを得たんだけど。
二人がお酒に耐性なんかついちゃったら、私達は貞操の危機な訳で。


教訓。
平沢姉妹に、お酒を与えてはならない。
By 和&梓。


End
























あとがき
平沢姉妹を酔わせて、和と梓を襲う話が書きたかったんだと思います。
ギャグ方向で(・ω<)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ