ハレルヤ
□あなた色に染まったココロ
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「…プロポーズされた?」
柚が持っていたビールジョッキを落としそうになったので慌ててジョッキを預かる。ふー、危なかった。
柚からあいつが帰ってきたんでしょう?と連絡があって会ったことだけを伝えて、あとは会って伝えたいと言ったら時間を作ってくれた。
「跡部さんがセッティングしたんだろうね」
やっぱりそうだよね。あの日跡部さんと会う約束をしていたんだもん。だけどバーに行ったら彼がいた。
「それでプロポーズに答えたの?」
「信用できないって言っちゃった」
え?と柚が聞き直す。だからもう一度、信用できないと言ったと伝えると柚が目を見開いた。
「断ったの?越前リョーマからのプロポーズを?」
だからそうだって言ってるのに。柚がそんなに驚いたことに驚く。柚ならやっぱりそうだよねと言うかと思ってた。挙げ句の果てには、ちゃんとよく考えて言ったの?とまで言われてしまった。
…よく考えた。うん、よく考えて断ったつもり。だって一般的でも普通でもないもの。
「一般的とか普通とかって問題じゃないの。本当に大切なのは名無しさんの気持ちでしょう」
名無しさんはどうしたいの?柚にそう言われて言葉に詰まる。どうしたいのって私はどうしたいんだろう。
「じゃあ質問を変えるね。越前リョーマのことはどう思ってるの?」
嫌い?とまで聞く柚は彼にそっくりだ。やっぱり首を横に振ることができない。どこまで似ているのか柚も追い打ちをかける。
「普通って考えもわかるけど好きって気持ちも大切だよ」
柚の言ってることはとてもよく分かる。私は彼のことがまだ好きなのかな。忘れたつもりでいてもやっぱり忘れられていないし、次の恋もできていない。
「まあ、その前にあっちの問題を何とかしてほしいよね」
「それはそうなんだよね」
本人はめんどくさいと思ってずっと何も弁解しないでいたんだから今更期待なんかしてないけど。
あなた色に染まったココロ
(どうしたらいいの?)
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