ハレルヤ

□乙女心は喰われて散った
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あとは心がついてくればいい。その決心を固めるために私は跡部さんに報告した。




「もう忘れることにします」


前も連れて行ってもらったバー。お話したいことがあるんですって言ったらわざわざ時間を作ってくれた。あの噂を知ったことと忘れると決めたことを伝えても跡部さんは何も言わない。何となく重い空気が流れる。少しして跡部さんがようやく口を開いた。





「泣きそうな顔してんじゃねぇか」


図星。あはは、と空笑いすることしかできないくらい。自分的には凛として言ったつもりなんだけど、どうやら私は演技が下手みたいだ。





「無理するな」


「無理でもしないと忘れられないんですよ」


誰だって一度は経験する失恋。私はずっと夢を見ていたんだと言い聞かせて忘れる。もうリョーマが言ったあの言葉も無かったことにする。無理してでもそうしないと。


その気持ちが伝わったのか、お前が決めたなら何も言わねぇと言ってくれた。これでいい、これでいいんだと言い聞かせていると急に肩を抱かれて引き寄せられる。もちろん相手は跡部さん。





「辛いときはいつでも言え」


どうしてもあいつに会いたくなったときは言え。どうにかしてやると続けた。


優しいなあ、本当に優しい。それに頼りになる。だけどこの優しさに甘えていたらだめなんだ。自分の足でしっかりと歩いていかないと。








乙女心は喰われて散った
(それはとても儚く)



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