ハレルヤ

□出来た作品は滑稽で、
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跡部さんが言ってることが分からないまま数日が経った。気になるけど分からないものは分からない。だけど事実は思いも寄らない形で分かった。





「名無しさんは好きな人いないの?」


社会人になってから知り合った同僚の子。大人っぽくて仕事もテキパキとできる人。突然の質問にびっくりした。もちろん私がリョーマ付き合って…いたことは知らない。



「私はいるよ!」


はーい!と隣で手を挙げたのは違う同僚の子。まだ学生気分が抜けていなそうな明るい子。このまま質問がその子に流れないかなって思っていると、あんたには聞いてないからと突っ込む。それでもあの人が好きなの!と話し出す。





「最近あの人が格好いいよね!プロテニスプレーヤーの越前リョーマくん!」


「うわ、出た。さすがミーハー」


一瞬時が止まってそれから一気に変な汗が出てくる。心の底からドキッとした。気がつくとそう思わない?なんて話が進んでいた。凛も同い年なのにすごいよねと返していた。





「でも最近あの人噂あるよね」


「え、知らない。どんなの?」


訳が分からないまま話がどんどん進んでいく。私はまだ2人がリョーマのことを話しているのを消化しきれていないのに。1人の子が携帯の画面を私たちに向けた。




【アメリカで活躍中のプロテニスプレーヤー越前リョーマ、日本人モデル玲奈と熱愛!玲奈の左手薬指には指輪!】



画面にはそう書かれていた。2人で並んでいる写真はないものの、1人で写真に写っている玲奈さんの左手薬指にはしっかりと指輪が光っていた。えー、失恋した!と隣で嘆いている声がすごく遠くに聞こえる。




「…名無しさん?どうしたの?」


跡部さんが言っていたのはきっとこの事なんだ。つまりこのまま待っていても意味ないんだ。








出来た作品は滑稽で、
(遠距離恋愛の結末はこれ?)



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