ハレルヤ
□迷子のアタシ
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「また勝ったみたいだな」
美味しい料理を口に運びながら跡部さんがそう言った。食事中に話す内容はほとんどリョーマのこと。みんなと同じようにメディアから得た情報しか持っていないから、そうみたいですねと相槌をうつ。
「もう何年になる?」
「5、6年ですかね」
長いなと言われて頷く。長いなんてもんじゃない。あのとき小学1年生だった子はもう小学校を卒業する年なんだもん。あれ、何言ってんだろう。とりあえずそれくらい長いってこと。
「相変わらず何の連絡もねーのか」
「ありませんね。今来てもびっくりしますけど」
今になって電話やメールが来たら本当にびっくりする。まあ、ありえるわけないんだけどね。でもどこかでそれを望んでいる私がいる。
「…まだ待つのか?」
「いい出会いがあったらいいんですけどね」
生憎そんな出会いがない。バカだけど彼を超える人なんて現れない気がする。そうしたら私はどうなるんだろう。こんな感じです一生独り身で生きていかなくてはならないのかな。それはさすがに寂しい。
「ちゃんとお前の将来のことを考えて決めろ」
たった2つ上の人。それでもこんなに考えがしっかりしているのだろうか。それとも私がいつまでも引きずっているからそう思うのかな。
迷子のアタシ
(どうしたらいい?)
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