ハレルヤ

□ふたりのおはなし
1ページ/1ページ




おかげさまで何の変哲もない日常。恋愛関係は昼休みに同僚の話を聞くだけの日々。一言で例えるならつまらない。



学生の頃はもっとキラキラしていて鮮やかな世界だったのに。いつから私の世界はくすんで見え始めたんだろう。きっとキラキラ輝いていたあの日々は全てリョーマのおかげだったんだ。





落ち込んだ気持ちを慰めるかのようにデスクに置いてある携帯が鳴る。画面に表示される名前は私には不釣り合いの人。今夜空いてるか、と言う用件だけのメール。空いてますと返すと終わる頃に迎えに行くと返ってきた。






「じゃあお先に失礼しまーす!」


少し遅くなっちゃったけどようやく退社。外に出るとただの立ち姿でさえ美しい人が待っていた。改めて何で誘われるんだろうと考えてみるけど分からない。少し小走りで行って彼の名前を呼ぶ。






「跡部さん、遅くなってすみません!」


やっと来たかと跡部さんが顔を上げた。いつもと変わらず何のコンプレックスもなさそうな端正な顔立ち。一緒に並ぶのが恥ずかしくなるくらい。そんなことを考えていると行くぞと言われて彼についていく。




着いた先は有名な高級ホテルの最上階レストラン。普通の社会人は到底踏み込めない領域だけど跡部さんは当たり前のようにスタスタと入っていく。席に着いてメニューを見るまでもなく運ばれてくるコース料理。





「美味しい!」


一品食べるごとに感動するくらい美味しい料理。それに比べて跡部さんは平然と食べている。食事に連れてってもらうたび思うんだけど、跡部さんは毎日のようにこういうのを食べてるのかな。それはすごく羨ましい。







ふたりのおはなし
(おとなだなあ)



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ