ハレルヤ
□静かな夜を抱きよせた
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「そうだ!今日泊まっていって!」
倫子さんが思い立ったようにそう言う。さすがにそれはと断ってもあれよこれよと言う間に南次郎さんも菜々子さんも帰ってきて、みんなで夕飯を食べてお風呂にも入らせてもらった。
…これってどうなんだろう。リョーマがいないのに何だか申し訳ない。
「じゃあ名無しさんちゃん、おやすみなさい」
流されるままにもう眠る時間。そういえば私、どこで寝たらいいんだろう。聞いてみると倫子さんが何言ってるよ!と楽しそうに私の腕をバシッと叩いた。痛い、普通に痛い。
「そんなのリョーマの部屋に決まっているでしょ!」
え、いいんですか?倫子さんはニコニコと笑いながら、ほらほら!と背中を押されて私は彼がいたときに何度も通った部屋のドアを開ける。
当たり前だけどリョーマの匂いがする。全身を彼の香りで包まれているみたい。無造作に置かれた数々のトロフィーや床に置いてあるカルピンの猫じゃらし。全てリョーマがここで過ごしていた痕跡。思わず泣きそうになる気持ちを抑えてベッドにダイブ。大変だ、もっと泣きそう。
「…リョーマ」
私以外に誰もいない彼の部屋。枕に伏せながら呼んだ名前は虚しく静かに響く。
…会いたいなあ、すごく会いたいよ。日本国内なら頑張れば会いに行けるのにアメリカはさすがに遠いよ。いつまでこの遠距離恋愛は続くんだろう。まだ始まったばかりなのに大丈夫なのかな、私。
静かな夜を抱きよせた
(抱きしめてほしいよ)
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