ハレルヤ

□そんな、愛情
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…本当にいいのかなあ。


そう思って今立っている場所はリョーマの家。正しくは彼は今アメリカにいるからリョーマが不在の彼の家。うん、何とも複雑な話。




何でここにいるかって言うと、たまには家に行ってというリョーマの言葉を信じてここまでのこのこと来てしまった。だけどやっぱり常識を図々しいよね。
リョーマが飛び立った日に南次郎さんも来てって言ってくれたけど社交辞令のはず。本当に行ったら変な子でしょ、とちゃんと考えられたのは今この場所に来てから。





…やっぱり帰ろう。リョーマがいないのに遊びに来たなんて絶対におかしい。



くるりと来た道を戻ろうとした。しかし名無しさんちゃん!と響く声。振り向くとそこには満面の笑みを浮かべた倫子さんがいた。どうしよう、逃げるわけにはいかない。だけどどうしたの?と言われてちゃんと言える自信はない。おろおろしていると倫子さんが私の手を掴んで歩き出す。気がついたら越前家のリビングにいた。目の前に倫子さんが座る。何、この状況。私、どうしたらいいの。





「やっと遊びに来てくれたのね!」


…え。倫子さんの顔を見ると先ほどと同じように満面の笑みを浮かべている。嬉しい!と言ってもらえて私の方が嬉しい。本当に来てもよかったんだ。





「あの子、勝手にアメリカに行ってごめんね」


眉を下げて言われると私は慌てて首を横に振る。倫子さんが悪いわけじゃない。そもそもリョーマだって悪くない。




「寂しいけど大丈夫です!ただ…当日に言われたのは驚きました」


でも本当はもっと早く言ってほしかったな、なんて。そう言うと倫子さんがくすくすと笑った。えっと何で私は笑われているんでしょうか。





「早く言うと何日も寂しい思いをしていたんじゃない?」


あの子がそこまで考えていたか分からないけど名無しさんちゃんのこと大切に考えてると思うから。


確かに。何日も前に言われてたらずっと寂しい思いをして暗かったかもしれない。わがままを言ってリョーマを困らせていたかもしれない。彼はそこまで考えていたのかな。もしそうだったら私はすごく愛されてるんじゃないかな。




彼のことを考えれば考えるほど溢れてくる思い。心に溢れすぎて涙になって零れていく。リョーマがアメリカに旅立ってから初めて泣いた。







そんな、愛情
(愛される、愛してる)




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