ハレルヤ

□そんな君に惚れたんだ
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桜も咲き始めた今日、私たちは青学高等部を卒業する。中等部を卒業するときもそうだったけど泣いている子はほとんどいない。大抵の子はエスカレーターで青学の大学まで進学するから。






「アメリカに行く」


彼にその言葉を初めて聞かされたのは今日の卒業式が終わったとき。つまりたった今初めて聞いた。



付き合ったときからそうだった。リョーマは決して人に相談しようとしない。自分で勝手に決めて後々報告してくれればいい方。だから今回もそれなりに受け入れられる。




「いつ行くの?」


「今日」


ちょっと待って、前言撤回。いくら慣れたからといってもこれはない。今日ってもう卒業式終わったからあと半日もない。帰ったらすぐってこと?相談してくれないのはいつものことだけど今回は受け入れられない。




「何で何も言ってくれなかったの?」


「決めたから」


「そんなの理由になってない」


怒ってるのかと聞かれれば怒ってるわけじゃない。リョーマのことだからリョーマに決めてほしいけど悲しみが大きい。


だってアメリカだよ?海を越えて飛行機に乗らないと会えない距離のアメリカだよ?時差もあるアメリカだよ?リョーマが朝なのに私は夜になっちゃうアメリカだよ?

今回ばかりはそんな簡単に分かったなんて言えない。






「空港まで来てよ」


「…行くけど」


それは行くけどさ。きっとそういうところがだめなんだろうな。結局許しちゃうんだもん。自分の意見なのにブレブレ。リョーマみたいに意思が強かったらよかったのに。…でも許したわけじゃないからね。








そんな君に惚れたんだ
(でもアメリカだよ?)




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