クロスロード
□少年少女の恋
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朝、学校に行きながら俺って真面目だったんだなーって実感した。ギリギリまで行くべきか悩んだけど。結局通学路を歩き出した俺って偉い。
おかげで朝から赤也を見てしまった。俺のことを見つけるや否や、犬のように駆け寄ってくる。話したくてしょうがねぇって顔をしながら。
「丸井先輩!俺、名無しさん先輩と付き合うことになったっす!」
「…は?」
この声の持ち主は俺じゃない。だって昨日からすでに知っているから。じゃあ、誰だ。
「赤也が付き合うんか?」
仁王だった。こんなに驚いている仁王って初めて見たかも。というか何でそんなに俺のこと見てくんだよ。詐欺師がそんなんでいいのかよ。
「まあ、おめでとさん」
ありがとうっす!なんて仁王にお礼を言って、スキップをしながら赤也が離れていった。仁王が、まあ、って言ったのは気にならなかったのか。
「何やってるんじゃ」
赤也が言ったあと、仁王が溜め息を吐きながら言った。あー、もー分かってるんだよ。そんなこと俺がいちばん思ってんだから。
「少しは赤也の素直さを見習うナリ」
「…今更遅いだろぃ」
あ、初めて素直になった気がする。しかし今言ったように今更遅い。もう他の男のものになっちゃったんだから。
「俺はブンちゃんと名無しさんが付き合ってほしいぜよ」
そんな言葉を赤也が聞いたらきっと泣くだろうな。というか、付き合ってほしかった、って言えよ。現在進行形かよ。
そんなことより今日からだよな。名無しさんを送るのは赤也になるのって。幼馴染の特権だったのに。彼氏って立場はすげぇな。
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