クロスロード
□あなただけの騎士
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部活が終わったあと、丸井先輩に頼んで俺も一緒に名無しさん先輩と帰らせてもらうことになった。丸井先輩が一瞬、変な顔をした気がするけど…。
いや、まさかな。そんなことを丸井先輩に言ったら、ありえないだろぃ、って言うに決まっている。
階段を上がるたび、もうすぐ名無しさん先輩に会えると思うとテンションは最高潮。もうすぐ教室だって時に、叫びにも近い名無しさん先輩の声が聞こえた。
『ブン太のことなんか好きじゃない!』
…嘘だ。直感だけどそう思った。
丸井先輩を見ると立ち止まっているし。あれ、何だよこれ。そんなことないよな?俺の直感なんて信じねぇ…。
頭の中がパニックになっていると、教室からどっかで見たことある女の子たちが出てきた。分からなかったのは一瞬。その次には俺は名無しさん先輩のもとに走り出していた。
「名無しさん先輩!」
駆け込むと、彼女は床に座り込んで涙を流していた。さっきの言葉は何だったのか、何故泣いているのか。難しいことなんて分からない。それに考えてしまえば、ネガティブになるから考えたくないだけかもしれない。
あー、もういいや。なるようになれ。俺は名無しさん先輩をきつく抱き締めた。
『…あか、やくん?』
俺の腕の中にいる名無しさん先輩は小さくて、これ以上きつく抱き締めたら壊れてしまうんじゃないかと思った。大事にしたい…それしか考えられなかった。
「名無しさん先輩、好きっす。俺があんたのこと守りたい」
あなただけの騎士
(その場所を俺にください)
-continue-
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