クロスロード
□ひび割れた未来
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赤也くんを見送ったあと、不機嫌そうに彼が近づいてきた。
「お前、何で赤也といたんだよ?」
『あ、ブン太。部活お疲れ様』
「質問に答えろぃ」
イライラした様子で彼はガムをプクッと膨らませたが、すぐに弾けてしまった。一体何でそんなに不機嫌なのだろうか。
『偶然会ったからだよ』
彼が幸村くんに黙っているのなら、私も黙っておこう。というか、ブン太のことでそんな目にあったなんて知られたくない。
「ふーん。まあ、帰るぞ」
まだ納得がいかないようだけど、どうやら諦めたみたい。そこで突っかかってもしょうがないから、私は無言で彼の後を追った。
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何で焦ってんだ、俺。
仁王に名無しさんが来たって言われてテンション上がったのに、赤也とだなんて聞いてねぇよ。仁王の奴、絶対知ってたのに黙ってたな。人で遊びやがって。
遠くから見てやけに名無しさんが赤也と仲が良さそうに見えて、イライラした。ガム食ってんのに旨くない感じ。最悪だ。名無しさんに聞いても何か隠している感じだし。
校門を出るとき、後ろから話しかけて来た赤也の顔に真田の鉄拳の痕があって、ちょっとスッとしたのは秘密。だって小せぇ男みたいじゃん。
だけど赤也が名無しさんに話しかけていて、またムカついた。ただムカつくだけ。何にも言えない俺。すっげぇ格好悪い。
ひび割れた未来
(いや、まさかな…)
-continue-
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