クロスロード

□奇妙な関係
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"恋なんてしたことがない"


友達にそう言えば、あんなイケメンがいるのにもったいなーい!って叫ばれる。多分、そのイケメンっていうのは幼馴染のブン太のことだと思う。


我が立海の強豪テニス部のレギュラーの座に彼は座っている。ただでさえ、容姿が目立つのに、更に目立っているとか私みたいな凡人には考えられない。




とにかくそんな素晴らしい功績の幼馴染はいるが、その彼と恋愛をするってなると別の話し。そんなこと言ったらまた、もったいなーい!って叫ばれそうだけど。第一、もったいないとは何だ。






「名無しさん、帰るぞ」


『うん、お疲れ』



部活終わりに教室に戻ってくるブン太。その彼を待っている私。まるで彼氏と彼女の光景だが、全くもって違う。一緒に帰るには他の意味がある。




話せば長くなるが、一言で言えば私のお母さんが原因。このご時世、物騒だよねって言葉から始まった。だから帰りは名無しさんと一緒に帰ってくれない?その言葉を私のお母さんはブン太に伝えたらしい。




『ちょっと勝手なことしないでよ!』


「あら、別にいいじゃない。でもどちらかに恋人が出来るまでよ」



その条件も意味が分からない。お母さん的にはゲーム感覚なのだろうか。全く迷惑な話し。…ん?いやいや待って。




『ブン太は承諾したってこと?』


「当たり前じゃない」



腰に手を当てて偉そうな態度をとっているが、全然偉くない。ブン太が承諾したなら私はもう何も言えない。ましてや決めたのはお母さんだ。家の法律はお母さんが絶対。

ブン太は小さい頃、今のようにだろぃ?とか言いながら私の家で悪戯したとき、お母さんにこっぴどく叱られた。ずっと前聞いたら、トラウマらしい。




まあ、とにかくブン太にならすぐに恋人が出来るだろう、だからそんなに長くは続かないなんて呑気に考えた。




しかしどうやらそんな考えは甘かったようで。私はもちろん、ブン太にも未だに恋人が出来ていない。モテるくせに。と言うことでお母さんの約束は続行中です。






奇妙な関係
(気になるけど気にしない)





-continue-




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