男装歌姫

□男装歌姫7
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どうしようっ……どうしよう……!!!!
逃げて来ちゃった……
また逃げたんだ…
また裏切ったんだ、自分を…



佳主馬を…



廊下の角で壁に背を預けてうつむいた

これからどの面下げて佳主馬に会えばいいんだろうか………














廊下の角から顔を覗かせて誰もいないことを確認する


瑠「(最悪だ………。普通人んちで逃げ回るか?
いや、ありえない)」


ふぅ…っとため息をついて誰もいないことに安心する
そして顔をもとの位置に戻すために振り返った…
ら、目の前に人がいた


佳「…………なにしてんの、瑠亥」


瑠「………………………………」


一番会いたくないやつが何故ここにいるんだ……


瑠「わぁぁぁ〜〜〜〜あああっっ!!!?!?」


俺は悲鳴を上げた…
















声を上げて驚く瑠亥に耳を塞いだ
そんなに騒がなくても……;;


瑠「な、ななな何でおまっ!ここにいんの!?」


佳「栄おばあちゃんちだから、ここ」


瑠「あ………………そ、そうか」


すんなり納得したけど本当に大丈夫なの?というくらい瑠亥は
何事もなかったかのように、いつものように冷静になっていた


瑠「……じゃ、俺は部屋に戻るかな」


佳「は!?その格好の説明も無しで戻る気?!!」


瑠「えー……いやだって………
話すことは話した、だろ?」


佳「それじゃ説明が足りないよ。ちゃんと、最初から説明して」


瑠「………………………………
…………
………………………………………………………
…わかった。お前にだけは、話す」


佳「…………………うん」


僕は静かに頷いた
心の中ではそう言ってくれたのがすごく嬉しかった
僕にだけって言うのが…

だから、今から瑠亥が話してくれることにちゃんと理解しなくちゃいけない

瑠亥が女で、男装した理由を……



















廊下だと疲れるから僕たちは移動した
そして納戸で向かい合って座る

いまだに浴衣を着ている瑠亥に見とれながらも
ぼんやりと瑠亥の顔を見て話を待った


瑠「………………俺、が転校してきた理由、知ってるか?」


そう、瑠亥は転校してきた
ちょうど去年の夏だ。AIのラブマシーン相手に戦ったあとの話だった


佳「瑠亥は親の用事で転校してきたんじゃなかったの?」


瑠「………嘘だそれ、。本当は、前の学校でイジメを受けてた」


佳「な、…なんで?」


瑠「………OZで、ちょっとな」


佳「!!!」


僕と同じじゃん……


瑠「俺が女で、声もダメだったからなんだ。しょうがない…
いっそ男だったら良かったのにな!」


僕の気を使ってか瑠亥はふざけたように笑って話していた
でも顔は悲しそうで………

全然笑えない


佳「OZで何かあったわけ?声って…」


瑠「!!そ、……それは……」


佳「………言えない?」


瑠「……………………」


だんまりだ

でも、瑠亥が今なんでOZが嫌いでやらないのか、なんとなくわかった気がした




でもそれは本当に気がしただけで…


僕はまだ、瑠亥のこと全然知らなかった
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