男装歌姫

□男装歌姫5
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場所を移動して、夏希姉の部屋…


瑠「…………で、提案って…
………なんのことでしたっけ?」


聞き間違えかな?多分……
絶対聞き間違えだよな、え、だって、
あり得ないし……


夏「だからね、瑠亥君が“女だ”ってこと、
この際みんなに言っちゃおうよってこと……」


瑠「………………………………」


はい、………
聞き間違えじゃなかったァァァアアアア!!!!

なにこの展開!
急すぎてついていけないっ…!
そもそもなんでこんなことになったの!?

そんな疑問を見透かしたように夏希姉はもう一度、先程の質問をした


夏「佳主馬のこと、好きなんでしょ?」


ピキッと一瞬固まって……うつむく

夏希姉の言っていることに間違えはない。図星だ
きっと俺の顔は赤くなっているに違いない


瑠「な、……なんでそれを、」


夏「見てれば分かるよw」


瑠「いや、絶対それ、夏希姉だけですから、あり得ないですから、」


夏「そう?まぁ、それはそれでいいんだけど…
今日の夜、みんなの前に浴衣を来て登場するの!
いつもは来ない佳主馬も強制参加で連れてくるから大丈夫よ!」


瑠「いや、何が大丈夫なんですか?
完全にアウトですよそれ
だいたい、ずっと男だと思ってた親友が実は女でしたって………
佳主馬を裏切ることになります
もう、このままでいいんです……それに、」


夏「…………それに、?」


瑠「それ、に………」


言葉がつっかえて続きが言えない
怖い………



俺は前に“OZ関係”で現実的にいじめを受けていた
正確に言えば妬まれていたのかな…
それがもう嫌になって中一の時に今の学校に東京から転校してきた

男として…

そのいじめがトラウマになってそれからは人前では、
…例え親しい家族や、佳主馬のまえでもOZをすることはなくなった

このいじめは俺が“女”だったから起きたこと…

それが男装していた理由
女に戻るなんて……俺には辛すぎる



そんな話を夏希姉は静かに聞いてくれた
しばらくの沈黙……
最初にそれを破ったのは夏希姉だった


夏「実はね、瑠亥君。うちの佳主馬も同じようなことが小学六年のときにあったの」


瑠「………………へ……?」


夏「今ではキングカズマって呼ばれてるカズマも、あれを乗り越えなければなかったと思う」


瑠「…………………」


初めて聞いた
佳主馬も俺と同じようなことになってたなんて……


夏「瑠亥君なら絶対に乗り越えられる試練なの!!
大丈夫、私もいるから。このチャンスを逃したらいつ言うの?!」


言うつもりなんてサラサラない
だけど………


瑠「正直、怖いです………でも
やってみて価値があるなら…悪くないかも」


夏「そう!そうこなくっちゃ!
さぁ準備準備♪佳主馬もビックリして喜ぶわ」


瑠「……喜ぶ、?」


夏「あ、こっちの話だからw
行くわよ瑠亥ちゃん!!」


瑠「ちょっ、夏希姉っ!!」


俺は夏希姉に腕を捕まれぐいぐいと半ば強制的に別の部屋へ連れていかれる

一体何をされるのかな………
不安という言葉しか頭になかった


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