男装歌姫

□男装歌姫13
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今OZ内で動いているのはカズマとナツキ、ケンジ、サクマ、そしてノイズの五体だけ…

そこに存在しているのも、五体だけ…

アバターが消え、殺風景となしたOZの世界に一羽のウサギが
怒りのオーラを揚げて立っている


カ「ルイを返せッ…!!」


?「主の命令には逆らえない。主からの伝言だ
“OZ内の全てをOMCの範囲内にした。アバターを救いたくば管理棟へ来い
ただし、爆弾が仕掛けてあるから容易に近づけば爆発する”
主からの伝言を伝えた」


サ「ば、爆弾だって?!管理棟に
そんなもの仕掛けたら、!
もし爆発したら現実でも大混乱が世界中で起きる…!!」


カ・ケ・ナ「えッ??!!」


世界中で大混乱…
去年と同様ラブマシーンのときと同じような被害が、いや…
それよりももっと酷い被害が世界中で起きる…


カ「何が目的だ!!」


?「歌姫に歌わせる…
そして消す、この世界から…」


ナ「な、なんでそんなこと…!!」


?「主のものだけのアバターにするために…」


そう言ってノイズの姿はだんだんと薄れてゆく…


カ「!!待てッ!!」


カズマが地面を蹴ってノイズに殴りかかった
が、その拳は宙をかすめるだけ…
ノイズはニヤリと笑うと姿を消した


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


瑠「……………」


瑠亥の顔を見てみると血色は蒼白していた
そして、パソコンの画面から目を反らさず唖然としていて…

納戸にいた全員が一瞬の出来事になすすべなく固まっていた


しばらくしてその沈黙を破ったのは…

瑠亥


瑠「どうしよう、佳主馬…、俺の、せい、なのか…?」


佳「なにいってんの、確かにルイだけど歌姫のルイじゃない。瑠亥が気にすることじゃない
まぁ、…アバターは盗られたけど」


そうは言ったものの、やっぱり…
歌姫のルイとルイの関係が気になる

瑠亥を見てみればその顔の表情は沈んでいた


瑠「……………………………………ナオ…」


小さく呟いた瑠亥の言葉は僕の耳にまでは届かなかった

それでも僕は、ある確信を持つことができた



“瑠亥は何か知ってる…”



聞かなきゃいけない…
この事件、瑠亥が関係している…!


佐「とりあえずOZをログアウトさせとけ。今の俺たちじゃ何も手が出せないからな」


健「うん……」


夏「ねぇ、今日の6時からルイのパフォーマンスがあるんじゃ…」


そう言えばそうだ
そうこうしている内にパフォーマンスの時間まであと7時間…

今11時、もうそろそろ昼御飯の時間だった


佳「歌姫のパフォーマンスを狙ってこの日にメールを送りつけたんだ。邪魔されないように…」


瑠「…………………………………
消すって……なんで…?」


佐「だから言ってだろ?ルイサポーターは歌姫を独占したいんだよ
だから消す。消して自分の中だけの記憶にする…
現実じゃストーカーがよくやりそうな手口だな
やつは今日のパフォーマンスを一人で独占して、終わったら始末するつもりだ」


瑠「ストー…カー…」


佳「ねぇ、瑠亥。何か知ってんじゃないの…?」


瑠「…………………………」


一瞬、空気が凍りついた
瑠亥は視線を真っ直ぐ僕に向け、驚く様子もなく…


夏「……瑠亥、ちゃん?」


夏希姉の声がかかったとき、瑠亥は同時に素早く目線だけを一瞬反らした

納戸の外へ…

そしてため息をつくと苦笑いを無理矢理作る


瑠「俺が知ってるわけがないだろ?
だいたい、なんの関わりがあるんだよ」


健「それは確かに…」


万理「夏希〜!?そろそろお昼だから手伝って〜!」


夏「あ、…はーい!!…………ごめん。健二君!瑠亥ちゃん!ありがと!」


夏希姉はそれだけ言って納戸を出ていく


佐「OZの方は俺が一旦調べるから入らないようにしろよ」


佐久間さんもぷちりと電話を切る

瑠亥はOZからログアウトできなくなったパソコンを閉じ、
少し怪訝な表情を浮かべ、納戸から出ていった

残ったのは僕と健二兄だけ…


佳「これから、どうすんの?」


健「分からない。でもやれることはやるつもりだよ
またラブマシーンのときと同じようにならないためにもね」


佳「健二兄…」


健「佐久間から連絡来るまで僕も調べてみるよ
しばらくパソコン借りてもいい?」


佳「……………うん、」


“ありがとう!”
健二兄はそう言って納戸から出る

一人残った僕はOZをログアウトさせると納戸を出た…


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