男装歌姫

□男装歌姫2
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やっと長野に着いた
と、瑠亥はよろよろになりながら電車を降りていた
それを支えて歩く僕は深くため息をついた

まだ次はバスに乗って移動なのに……





長野に着いた頃にはすっかり正午を過ぎ…
何も食べていなかった僕たちは少し休憩して出発することにした
瑠亥も酔っていたのでそのことを考慮して十分に休憩をとった

ま、それでも瑠亥の車酔いは落ち着かなくて…
結局僕たちは歩いた


瑠「ごめん、佳主馬ぁ…」


佳「いいよ、気にしないで」


瑠「はぁ〜…、なんで酔い止めの薬持ってこなかったんだろ」


佳「(僕もそれは疑問に思う…)」


雑談を少しずつ交わしながら陣内家に徒歩で向かう

あの駅から確か10キロくらいはあったと思う
二時間くらいかかるな…


佳「………はぁ、」


僕がため息をもらしたのを見て、瑠亥は
顔を歪めて複数な表情をしていた……













佳「………着いたよ、瑠亥。大丈夫?」


瑠「………………でっけぇなぁ、
お前の叔母ぁちゃんの家…」


佳「…大おばあちゃんだよ」


瑠「、そうだった」


二時間かけてやっと着いた時には二人とも汗だくだった
後でタオルもらわなきゃ…

僕は瑠亥の手を引っ張って玄関までゆっくりと連れて行った


佳「こんにちは」


「あら。佳主馬、もう来たのね」


佳「予定より少し遅くなったけど、」


瑠「…………;;;;」


「そちらの方は?」


佳「僕の友達」


瑠「初めまして。霧月瑠亥です」


「瑠亥君ね!まぁまぁ、わざわざこんな遠くに来てくれてありがとうね
上がってゆっくりしていってちょうだい」


瑠「ありがとうございます、」


軽く挨拶を交わして瑠亥は家に上がった
僕も瑠亥の隣に靴を並べて上がる


「佳主馬、瑠亥君に部屋へ案内してあげて」


佳「分かった。行こ、瑠亥」


瑠「あ、あぁ」











すっかり酔いが覚めたらしい瑠亥はとことこ僕の後ろをついて来る
この家は無駄に広くて初めての人なら誰でも迷う
去年の健二兄みたいにね


佳「ここ、瑠亥の部屋ね」


瑠「………こんな広い場所、一人で使っていいわけ?」


佳「うん。……この隣が僕の部屋だから、何かあったらそこに来て」


瑠「わ、分かった…;;」


佳「じゃ、さっさと荷物置いてパソコン持って行くよ」


瑠「……………どこに?」


佳「納戸」


瑠「なに、それ。何やるつもり?」


佳「いいから早くパソコン出しなよ」


瑠「……………」


訳がわからない、とかブツブツ呟いて瑠亥は荷物を渋々下ろす
バッグを開けて、薄いノートパソコンを取り出すと僕の方に顔を向けた


瑠「…で?納戸で何をするって?」


佳「決まってんじゃんそんなの……
OZだよ」


瑠「…………………」


瑠亥は眉間にシワを寄せて僕を睨んでいた


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