男装歌姫

□男装歌姫1
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『皆さん、今日は本当にありがとうございました
また是非聞きにいらしてください』


「歌姫〜!!!」
「僕の天使さんもうひと曲!」
「ルイ〜〜〜♪歌声ハンパねぇ!!」
「次も楽しみにしてるね!」
「マイビーナス!魅惑の歌姫〜♪」


『…………………』


はぁ〜………つまらない

ーーーーーーーーーーーー

「ねぇねぇ聞いた?歌姫!またOZに現れたみたいよ!」
「マジ!?聞きたかったなぁ〜」
「歌姫最高〜〜!!!!」
「可愛いし、声綺麗だし、清楚だし、……
もう完璧としか言えないよね!」


今日の放課後もあのルイっていう歌姫の話で持ちきりだった

僕の名前は池沢佳主馬。中学二年生
身長は普通の人に比べて小さい。今はそれが悩みの種である

僕はOZの世界ではカズマというウサギのアバターを使っている
一応OMCでチャンピオンな訳で、世間からはキングカズマで名が通っていた

最近、噂になっている歌姫…
通称魅惑の歌姫天使ルイは、OZでは僕と同じくらいに名が通っていて有名だ

たまに僕も歌姫の歌声を(夏希姉の強制連行で)聞きに行くがやっぱり上手い…
感動するくらい、歌が上手で声が綺麗だった


瑠「佳主馬〜!帰ろうぜ!!」


佳「ああ、わかった」


今声をかけてきたのは霧月瑠亥
僕の一番の親友だ
いつも僕のことを気にかけてくれるし、一番の理解者である


佳「今日もルイ姫の話で持ちきりだったね」


瑠「………そうだな、」


佳「同じ瑠亥でも全然違う…」


瑠「バカ!当たり前だろーが」


佳「ま、確かにね」


瑠亥はこの話をいつもつまらなそうに返す
興味がないのかな……?
それを知ってて瑠亥に話す僕はどうなんだか、

校庭へ出て帰路を2人並んで歩く


佳「もうすぐ夏休みだ」


瑠「………
そーだな。また長野へ帰るのか?」


佳「うちはみんなそうなんだ。しょうがないよ」


瑠「ふーん………行きたくないんだ?」


佳「そうでもない。面倒くさいけど万助おじいちゃんに会えるから別に…」


瑠「少林寺の師匠だっけ?かっけー!
俺も長野行きたいなぁ…」


瑠亥がポツリと呟いて沈黙が続く……

そういえば、…………
瑠亥って結構、男のくせに可愛げがある
僕よりも身長が低いのがそのひとつだった……
ってそう思っている自分がなんか最近変かも


瑠「なぁ?佳主馬〜…」


佳「…………なに、」


瑠「俺も長野、連れてって」


佳「……………………………はぁ?」


立ち止まって瑠亥を見た
瑠亥も瑠亥で、かなり真剣にこちらを見つめている

…本気で言ってたらしい


瑠「だめ、………か?」


佳「あ、いや……別に。断る理由ないからいいけど、
むしろ来てくれた方が僕的にはありがたい」


何故ありがたいかって?
そりゃ僕は瑠亥のことが…………………
じゃなくて、話す人がいたほうがいいから
さっき言いかけたのはナシで


瑠「ほ、ほんとか!?」


佳「うん」


瑠「よっ…………しゃぁぁぁぁああ!!!!」


両腕を天に向かって伸ばし、喜んでいる瑠亥をみて僕も嬉しくなる

今年はとても楽しめそうな夏休みになりそうだ……


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