男装歌姫

□男装歌姫11
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健二兄は画面に大きく映し出されたスタートボタンを押そうとしなかった

瑠亥がそれを見て難しい顔をし、
夏希姉はポカンとした顔で何が起こっているのか分からないようだった


瑠「あのさ、健二兄。確認の為に訊きたいことがある
ようするにこれってさ……」


佳「2人同時に、制限時間内に問題を解かなきゃいけないってことだよね?」


僕と瑠亥の質問に健二兄は重々しく、苦々しい表情で頷いた

夏希姉もこれを聞いてやっと事情が分かったようで“え〜〜〜!!!?”と声を上げる


夏「そんなの出来るわけないじゃない!その問題解けるのここには健二君しかいないじゃない!
…………ってことは私たち、携帯でOZ使えなくなっちゃうの!!?」


佳「夏希姉落ち着きなよ。健二兄、それ1人じゃできないの?」


健「う、…ん。ダメみたいだ。2つのパソコンをコードで繋がなきゃ
スタート押しても問題が解けないようになってる
それに、制限時間が一分だけだから二問解けるかどうかも……」


夏「制限時間は一分って……そんな」


瑠「…………………………」


難しい顔をしていた瑠亥がその会話を聞いていて、再び申し訳なさそうな表情を見せた

やっぱり本当に何か知ってるよね、瑠亥…

瑠亥はスッと立ち上がると自分のノートパソコンを持って健二兄の隣に並んで座った

その顔つきは先程までとは全く違う真剣な顔つきで…

意を決したかように短くため息を切って僕を見た


瑠「佳主馬!ケーブル持ってるよな?貸して!」


佳「あ、………うん!ちょっと待ってて」


瑠亥に頼まれたケーブルを渡すとそれの片方を自分のパソコンに差し込み、
もう片方を健二兄のパソコンに差し込んだ

そうすると物凄い勢いでキーを押し始める


健「な、…何してるの?瑠亥ちゃん…」


瑠「そのパソコンと、このパソコンを繋げてる。見れば分かるでしょ」


佳「何する気?」


瑠「……………………
……やることはひとつしかない」


夏「まさかこれ!健二君と一緒に解くつもり!!?!?」


瑠「…………うん。そうだよ、…っと
よし、健二兄。いつでも始められるよ」


健「え!?瑠亥ちゃんこれ出来るの!?!!」


瑠「まぁね、」


佳「……………初めて聞いた」


瑠「そりゃ…誰にも知られたくなかったから、黙ってた
一応ハッカーくらいのプログラム解析はできるからね、w
数学も得意だし♪」


ハッカーって………;;;;

でも確かに、瑠亥はいつも学校のテストで数学だけは満点だった
でもこれはワケが違う


瑠「始めて健二兄!」


健「ほ、本当にやるの!!!?」


佐『お〜い!健二!バッドニュースだ
パス解くには2人いないとできなくなってる!』


佳「今健二兄と瑠亥がそれを解こうとしてるよ」


佐『は?!……2人いんの!?てか瑠亥って、そう言えばさっきの誰だよ!』


瑠「佳主馬と同級生の霧月瑠亥です。教えてくれてありがとう
俺が健二兄とパス解くから任せて!」


佐『!?
キングと同じ年!?……があれ解くのか?!!失敗したら終わりだぞ!!』


瑠「大丈夫大丈夫大丈夫……自信はある
…健二兄!!!」


健「……………」


夏「健二君…………」


健「……………………………分かった
瑠亥ちゃんを信じるよ」


“ありがとう!”短く礼を言って瑠亥はニコリと笑う

2人はパソコンに向かうとグッと真剣な表情に戻って画面とにらめっこしていた


健「行くよ!瑠亥ちゃん!」


瑠「いつでもどうぞ」


瑠亥の返事と共に、健二兄はボタンを押した……
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